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溶接加工とは?|基本的な仕組み・分類と溶接不良について
溶接
2023.3.25
溶接加工とは、金属を接合する方法のひとつであり、母材を熱で溶かす融接や圧力を加え接合する圧接、溶加材によって接合するろう接などがあります。
溶接加工は強度が出やすく、様々な製品や部品の製造に活用されています。
溶接加工には様々な種類があるので、母材の金属や求められる強度、部材の大きさや厚みなどに応じて適切なものを選択しなければなりません。また、加工時の環境や作業方法によっては、不良が発生する可能性もあるのでご注意ください。
本記事では、溶接加工とは何か、分類方法や注意すべき溶接不良について解説します。
溶接加工とは?
溶接とは、部材同士を接合する方法のひとつです。溶接を行えば、金属同士をくっつけられるので、様々な形状に加工できます。
なお、日本工業規格(JIS規格)では、「2個以上の母材を、接合される母材間に連続性があるように、熱、圧力、又はその両方によって一体にする操作」と定義されています。
上記のように、溶接は様々な製品や部品の製造に使用されています。
そして、溶接は以下の方法で行われます。
- 融接(溶融溶接)
- 圧接(加圧溶接)
- ろう接
溶接と接合の違い
金属をつなぎ合わせる方法には、溶接の他に接合もあります。溶接と接合の違いは、それぞれ下記の通りです。
種類 | 溶接(治金的接合法) | 接合(機械的接合法) |
概要 | 金属が持つ特性を利用して部材を接合する | 機械的に部材を組み立てる |
メリット | 接合部分がきれいに仕上がる
接合部品を使用しないので重量が増えない 様々な形状に対応できる |
簡単な工具で接合や取り外しができる
作業自体も簡単なので作業者の訓練が不要 部材を加熱する必要がない 分解しやすい |
デメリット | 作業時には専用の工具や環境が必要
訓練者の技術も必要 部材を加熱する必要がある 分解しにくい |
見た目が良くない
接合部品の重量が増える 形状によっては利用できない |
具体例 | 融接
圧接 ろう接 |
ボルトやリベットによる接合
カシメによる接合 |
溶接も接合も、部材同士をくっつける点は共通しています。ただし、それぞれメリットとデメリットが異なるので、作りたい製品によって使い分ける必要があります。
溶接加工の3つの分類とそれぞれの種類
▲溶接をしている様子
溶接加工は、融接、圧接、ろう接の3つに分類され、それぞれに特徴が異なります。
融接(溶融溶接) | 圧接(加圧溶接) | ろう接 | |
概要 | 部材の溶接部分を熱で溶かし、部材を接合させる | 機械による圧力を加え、部材を接合させる
圧力のみでなく、摩擦熱を利用するものもある |
溶加材を接合部分のすきまに流し込み、部材を接合させる |
メリット | 分厚い部材にも対応可能 | 薄い部材にも対応可能
溶接条件の管理をしやすい |
異なる母材を溶接可能
母材を傷付けずに溶接可能 |
デメリット | 加工時にひずみが起きやすい
品質にばらつきが発生しやすい |
他の方法と比べ強度が出にくい
気密性を保つのが難しい |
部材が分厚い場合は強度を保てない |
それぞれにメリットとデメリットがあります。母材となる金属や加工後に求められる強度、部材の形状によって適切な溶接方法を選択しなければなりません。
これら3つの方法を用いて、色々な種類の溶接が行われています。以下は一般的によく行われている溶接の方法です。
- アーク溶接
- ガス溶接
- レーザー溶接
- ガス圧接
- 抵抗溶接
- ろう付
- はんだ付
溶接の種類については以下の記事にまとめていますのでご覧ください。
≫溶接の分類|代表的な溶接の種類と各金属に不向きな方法を解説
溶接の欠点と不良
溶接の中には母材を高温加熱する方法もあり、母材そのものが熱による影響を受けてしまう場合もあります。
そのため、溶接加工時には下記のような溶接不良の発生や、母材の変質に注意しなければなりません。
欠点・不良 | 概要 |
溶接ひずみ | 高温になった母材が膨張し、加熱されていない部分に抑えられたことによって発生するゆがみ |
金属の変質 | 母材を高温にしたことにより、金属の材質そのものが変化してしまう |
溶込み不良 | 設計上の溶込みに対して、実際の溶込みが不足してしまう |
融合不良 | 金属同士が融合していない、もしくはビードの間が融合していない |
スラグ巻込み | 母材との融合部やビードの間にスラグを巻込んでしまう |
ブローホール | ガスや不純物が金属凝固時に内部に留まり、気泡として残ったもの |
割れ | 外部からの不純物混入などが原因で部材が割れてしまう |
溶接加工の対応は金属材によって大きく変わる
溶接は金属が持つ特性を活かして部材同士を接合する加工方法です。そのため、選択すべき加工方法や加工時の環境設定、作業方法は母材とする金属によって大きく変わってきます。
例えば、ステンレスと異なる金属を溶接しようとすると、電位差によってステンレス以外の金属が錆びやすくなるのでご注意ください。
他には、ハステロイの溶接時に入熱温度を高くしすぎると、本来持つ腐食性を発揮できなくなってしまいます。そのため、溶接時には低温から中温で温度管理をする必要がありますが、低温で作業する際には溶込み不良に注意しなければなりません。
このように、溶接加工といっても、母材とする金属や求められる強度、母材の大きさによって加工方法や温度は変わります。
溶接加工を行う際には、金属の持つ特性を熟知し、適切な方法で加工しましょう。
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