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異種金属の溶接|メリットと難しい理由、異なる金属ごとの特徴を解説

溶接

2024.4.11

異なる金属での溶接は、コストの低減や軽量化が求められる現代においてとても重要な技術です。しかし、異種金属の溶接は金属加工の中でも非常に難しいとされており、職人でも依頼をお断りするケースもあります。

 

難しい原因としては電位差や溶融点の違いがありますが、これらは組み合わせによって全く異なります。そのため、それぞれの金属の特徴や異種金属間の特性を理解する必要があり、加えて対応できる技術も要するため難しいのです。

 

この記事では、異種金属溶接の特徴や難しい理由をまとめました。合わせて、組み合わせごとの特徴も解説しましたのでご覧ください。

 

 

異種金属の溶接とは

 

溶接作業は同じ金属をくっつけるために行うのが基本です。しかし、金属にはそれぞれ特性が異なるため、使用する箇所によって金属材を変えることがベストと言えます。

 

そこで行われるのが異種金属による溶接です。ステンレスとチタン、アルミと炭素鋼など、さまざまな組み合わせで接合をし、目的の金属製品の条件に近づけています。

 

 

異種金属溶接のメリット

 

異なる金属の溶接によるメリットに次の2つが挙げられます。

 

  • コストを抑えられる
  • 重量を軽くできる

 

各金属はそれぞれ強度と費用が違います。例えば、チタンは強度が高い金属ですがコストは高いです。

そのため、すべてをチタンにするのではなく、一部をステンレスに変えれば全体の費用は下げられます。

 

また、それぞれに重量も異なりますので、強度が求められる箇所にはステンレスを使い、そのほかはアルミを用いることで軽量化が可能です。

そのほかにも、金属は電気伝導率も大きく異なります。これらの特性の違いを活かし、同じ製品に最適な金属を使える技術が異種金属の溶接なのです。

 

 

異種金属の溶接が難しい2つの理由

 

溶接をしている様子

 

異種金属の溶接は、金属加工の中でもかなり難しい作業のひとつです。そのため、かなりの技術と経験が必要ですが、具体的には次の2つが難易度を上げている原因となります。

 

2つの原因
  • 電位差が生じる
  • 溶融点や熱伝導率が異なる

 

 

電位差が生じる

 

金属には電位と呼ばれるエネルギーがあります。この電位は各金属で大きさが異なり、小さい場合は空気中の酸素と結びつく傾向が高くなります(イオン化)。

 

もし、電位が大きく違う金属を合わせると、電位が小さい金属はイオン化の傾向が進みやすくなります。これにより金属には腐食が発生するため、元々の強度や気密性が失われてしまうのです。

 

 

溶融点や熱伝導率が異なる

 

溶接をする際、金属が溶ける温度や熱の伝わりやすさはとても重要です。そして、この溶けやすさ等の性質は各金属で異なり、それぞれに合わせた溶接条件を設定しなくてはいけません。

 

しかし、異種金属の組み合わせにより、溶融点や熱伝導率が大きく違う可能性もあります。その場合、一方は溶けすぎ、もう一方は溶け込みが足りずに溶接され、さまざまな欠陥を引き起こすことになるのです。

 

 

異種金属ごとの溶接の特徴

 

金属の特性はそれぞれ違うため、組み合わせによってその特徴も大きく異なります。基本的には、異なる金属を融接した際に、それぞれの原子がそのまま混じり合える場合は問題ありません(完全固溶体)。

 

しかし、それぞれの原子が化合して別の物質を作ってしまう組み合わせは、溶接部分がもろくなってしまうため向いていないと言えます。

 

加えて、溶接方法においても向き不向きがあり、アーク溶接は難しいケースが多いです。そのため、異種金属と溶接法の組み合わせも考慮することが求められます。

 

ここでは、よく問われる以下2つの事例について、その特徴等を紹介します。

 

  • ステンレスとチタン
  • アルミと鉄

 

 

ステンレスとチタン

 

ステンレスとチタンの溶接は相性がよくありません。この2つは化合物を生成して、非常にもろい金属間化合物に変わってしまいます。

そのため、お互いを溶かす融接はせずに、ろう付けなどを採用する場合がほとんどです。近年は技術進歩により、レーザー溶接で接合する方法でも成功事例があります。

 

 

アルミと鉄

 

アルミと鉄の組み合わせも溶接においては良くないです。アルミの融点は約600℃、鉄は約1,500℃ですので、鉄が溶ける頃にはアルミは溶け落ちてしまいます。

 

加えて、2つの金属間化合物が非常にもろいため、このケースの溶接はとても難しいです。そのため、CMT(コールドメタルトランスファー)溶接やFSW(摩擦攪拌接合)などの新しい手法が注目されています。

 

参考記事

アルミと鉄の溶接|難しい理由と接合可能な2つの方法を解説

 

以上です。株式会社新進では、異種金属の溶接などの難しい加工にもご相談に応じていますので、お気軽に以下ページよりお問い合わせください。

 

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