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真鍮(黄銅)の溶接|難しいとされる4つの理由と施工時の注意点

真鍮

2022.9.18

真鍮の加工方法のひとつに溶接があります。溶接では、部材もしくは溶接材を熱により溶かし接合することによって、図面通りの形状に仕上げます。

 

金属の溶接は、使用する機械や加工方法によって、Tig溶接や抵抗溶接、ろう付け接合、レーザー溶接等に分類可能です。溶接方法によって特徴が異なるので、部材となる金属や作りたい形状によって使い分ける必要があります。

溶接を行えば、複雑な形状の製品や強度の高い部品を製造できる一方で、真鍮の溶接は他の金属と比較して難しいので注意が必要です。

 

本記事では、真鍮の溶接が難しいとされる理由や対処法も合わせて解説していきます。また、作業時の注意点に関しても紹介しますので、真鍮の溶接を試してみたい人はぜひご参考ください。

 

 

真鍮の溶接方法の種類

 

金属の溶接方法にはいくつか種類があります。真鍮に用いられる溶接方法をいくつか紹介していきます。

 

溶接方法
  • Tig溶接
  • 抵抗溶接
  • ろう付け溶接
  • レーザー溶接

 

 

Tig溶接

 

Tig溶接とは、不活性ガス内でアークを発生させ、その熱で溶接を行う方法です。Tig溶接は不活性ガス内で溶接作業を行えるので、部材の酸化を起こしにくいメリットがあります。

また、作業中に火花が発生しにくいので安全に作業しやすい溶接方法もといえるでしょう。

 

 

抵抗溶接

 

抵抗溶接とは重ねた部材に電流を流し、発生した抵抗熱を使用して部材を溶かして溶接する方法です。抵抗溶接は、電流の流し方によって以下のように分類されます。

 

  • スポット溶接
  • シーム溶接
  • プロジェクション溶接

 

しかし、真鍮は通電性が高いので、電流を流しても電気抵抗が発生しにくい金属です。そのため、真鍮で抵抗溶接しようとすると、非常に大量の電流を流す必要がありコストがかかります。

 

 

ろう付け接合

 

ろう付け接合は、真鍮の溶接方法の中でもよく選択されます。ろう付け接合では、部材同士を加熱し、ろう材を溶かし冷却することによって部材をくっつけます。

ろう材は部材となる金属の種類によって使い分けが必要ですが、真鍮のろう付け接合では銀ろうがよく使用されます。何らかの理由で銀ろうの使用ができない場合には、真鍮ろうも使用できます。

 

 

レーザー溶接

 

レーザー溶接とは、レーザー光が持つ高いエネルギーを使用して溶接を行う方法です。レーザー溶接は細かい部分の溶接に向いているのがメリットですが、真鍮には光沢があるのでレーザー光を反射しやすく、真鍮の溶接には対応していないレーザー溶接機も多いので注意が必要です。

溶接不良やレーザー溶接機の故障を避けるためにも、真鍮に対してレーザー溶接を行う場合には、必ず対応している機械を使用するようにしましょう。

 

 

真鍮の溶接が難しいとされる4つの理由

 

真鍮が金属の特性上、溶接が非常に難しく質の高い製品や部品に仕上げるためには、高い技術が必要です。その理由は次の4つで解説できます。

 

溶接が難しい理由
  • 酸化皮膜により溶接不良を起こしやすい
  • 溶接割れを起こしやすい
  • ブローホールが生じやすい
  • 通電性が高く抵抗溶接のコストが大きい

 

 

酸化皮膜により溶接不良を起こしやすい

 

銅は鉄やアルミニウムと比較すると錆びにくい金属ですが、それでも空気中の酸素と真鍮の中に含まれる銅が反応して表面に酸化被膜と呼ばれる黒ずみが発生します。

酸化被膜が発生した真鍮で溶接を行うと、溶接部分が不安定になりやすく欠陥を起こしやすいです。酸化被膜を防ぐためには、溶接前の部材を適切に管理しておかなければなりません。

 

 

溶接割れを起こしやすい

 

真鍮の融点は約800度と低めですが、銅と亜鉛の合金なので金属が解け始める固相温度と、金属が完全に解ける液相温度に差が出やすい特徴があります。

固相温度と液相温度の差が大きいと、溶接後に部材が固まるまでの過程で割れを起こしやすく注意が必要です。

 

また、真鍮は熱膨張係数も高くひずみに注意しながら作業をした結果、溶接割れを起こすケースもあります。

溶接割れを防ぐためには、溶接前後も含めた部材の温度管理が重要です。質の高い溶接を行うには、金属に関する知識と高い溶接技術が必要になります。

 

 

ブローホールが生じやすい

 

真鍮の亜鉛比率は20%を超えているので、溶接作業時には亜鉛が燃焼しやすいです。亜鉛の燃焼による吹き上がりが発生すると、金属内でブローホールと呼ばれる空洞が生じてしまいます。

 

ブローホールは溶接欠陥の中でも金属内部の欠陥なので見た目に影響はありませんが、強度などの品質に問題が発生する恐れがあります。

ブローホールを防ぐには酸化皮膜の除去や作業時の管理などが重要であり、高度な溶接技術が必要です。

 

 

通電性が高く抵抗溶接のコストが大きい

 

銅と亜鉛の合金である真鍮は、非常に通電性が高い金属です。通電性は銀の次に高く、電気を通したときの抵抗も必然的に小さくなります。

電気を通したときの抵抗熱を利用している抵抗溶接を真鍮に対して行う場合には、他の金属を溶接するときと比較して高い電流を流さなければなりません。

そのため、真鍮で抵抗溶接を行おうとすると、コストが高くなってしまいます。

 

 

真鍮を溶接加工する場合の注意点

 

銅と亜鉛の合金である真鍮を溶接する際には、亜鉛中毒に注意しなければなりません。作業時に亜鉛が蒸発すると酸化亜鉛ヒュームが発生し、作業者が吸入してしまうと発熱や寒気などの症状があらわれます。

作業時の亜鉛中毒を防ぐために、以下の点に気を付けて作業を行うようにしましょう。

 

  • 溶接作業時には換気を十分に行う
  • 防塵マスクを必ず着用する
  • 防塵マスクのフィルターは休憩ごとにエアーで洗浄する
  • 溶接時に酸化亜鉛ヒュームを吸い込まないように顔を近づけすぎない

 

 

真鍮は切断や曲げることは比較的簡単ですが、溶接自体はかなり特殊な金属のため色々と気をつける点が多いです。

溶接について何かお困りごとがあれば、株式会社新進にご相談ください。次のページからメールでお問い合わせができます。

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