06-6581-3041

営業時間(9:00-18:00 )

お問合せ

COLUMN

読み物

チタンの溶接方法|難しいとされる理由と大阪・九条工場の施工事例

チタン

2022.5.29

チタンの溶接は、金属の中でも特に技術が必要とされています。そのため、溶接の必要な工程の場合だと、依頼をお断りする業者も多いのが実情です。

 

チタンは比較的低温で酸素と反応する、という特性があります。溶接をする温度まで熱を加えると、大気中の酸素と一気に反応して、非常にもろい金属に変わってしまうのです。

それ以外にも、ブローホールといった欠陥も発生しやすく、将来的には破断する可能性が高いため、適切な溶接処理をしなければなりません。

 

当記事では、チタンの溶接が難しいとされる理由を中心に解説します。その上で、うまく行うためにはどうすべきか、2つのポイントにまとめてご紹介します。

チタンの溶接では、まわりの酸素をいかにして遮断する環境を整えるかが重要です。

 

 

チタンの溶接方法

 

チタンをはじめとする金属材料の溶接は、主に以下の4つで行われています。

 

  • アーク溶接(ティグ・ミグ・プラズマ)
  • 電子ビーム溶接
  • レーザー溶接
  • 抵抗溶接

 

各溶接方法には、金属それぞれの特性によって向き不向きがあります。金属それ自体の性質と、溶接法の特徴を踏まえた上で選ばなければなりません。

 

チタンの場合、基本的にはアーク溶接が採用されることが多く、その中でもティグ溶接が一般的には選択されています。

ティグ溶接とは、不活性ガスの中でアークと呼ばれる弧状の光を発生させ、そのアークの熱により金属母材を溶かして溶接する方法です。

 

実際に、チタン部品を多く使用する石油化学工業の分野では、熱交換器や復水器のパーツにティグ溶接を使ったものが多く見られます。

また、宇宙・航空機部材として使用する合金チタンでは、電子ビーム溶接が行われるケースも増えました。しかし、この溶接は真空中で行う必要があるため一般的ではないのが現状です。

 

 

チタンの溶接が難しいとされる理由

 

チタンは数ある金属の中でも、比較的、溶接が難しいとされています。事実、SNS上でもそのようなコメントが投稿されており、一部の業者ではお断りすることもあります。

 

溶接が難しい理由としては、以下の2つが原因です。

 

  • 溶融点がかなり高い
  • 低温で化学反応する

 

 

チタンおよびチタン合金は、400〜500℃ほどの低温でも大気中の酸素に反応して酸化してしまいます。そのため、チタンの溶融点である約1,700℃まで温度を上げると、酸素や窒素と激しく酸化し始めます。

 

酸化したチタンは非常に硬い金属となり、伸びが損なわれてもろくなる。これが、チタンの溶接が難しいとされる最大の原因です。

 

また、チタンは他の金属よりもブローホールが起きやすい、という特徴もあります。

 

ブローホールとは?

金属を溶接する際に、水分や油、気体などが入り込んだまま溶接した時に生じる空洞のこと

 

空洞自体は小さいものの、かなりの数のブローホールが生じるため問題になる場合が多いです。

ブローホールがあると、金属疲労が進むと破断する可能性が高いので、空洞を生じさせないための事前の準備や環境づくりが必要となります。

 

 

種類によっても変わるチタンの溶接性

 

チタンには、純チタンとチタン合金の2種類があります。さらに、チタン合金は細かく分類するとα、α-β、β合金に分けられ、それぞれで性質が異なります。

 

溶接が一番しやすいのは純チタンです。

一方でチタン合金は、溶接性が良いものはあまりありません。α合金は比較的良いものの、その他の合金は溶接性が悪くなる傾向にあります。

 

もし、溶接が工程に含まれる製品を製作する場合、チタン合金であれば以下のものを選択すると良いです。

 

  • Ti-5Al-2.5Sn(α型)
  • Ti-6Al-4V(α-β型)

 

α型の合金は溶接性が良く、その代表であるTi-5Al-2.5Snは間違いがない選択でしょう。α-β型のTi-6Al-4Vは、α型には劣るものの、溶接性などのバランスに優れた合金です。

 

 

チタンを溶接する際の具体的なポイント

 

金属の溶接方法は様々ですが、チタンの溶接にはティグ溶接を使うことが多いです。そのため、ここではティグ溶接をうまく行うポイントを紹介します。ポイントは以下の2点です。

 

  • 確実なシールドで酸化・窒化を防止する
  • 溶接部や工具を清浄しクリーンな溶接環境を作る

 

チタン溶接においてもっとも重要なポイントは、大気に触れないようにする点です。そのため、溶接部を完全にシールドガスで遮断して化学反応を防ぎます。

溶接が終わった後も、200℃を下回るまでシールドを続けてください。徹底したシールドを行うことで、高品質を保持したまま加工できます。

 

さらに、溶接環境も常に整えておきます。溶接時に異物が混入すると、品質低下につながります。そのため、溶接材料や溶接継手の溝である開先を洗浄してから作業を始めましょう。

 

 

溶接欠陥は溶接後の色で判断する

 

チタンの溶接欠陥は、溶接後の変色で判断できます。チタンは溶接時に空気の濃度によって継手の性質が変わります。

また、溶接部の盛り上がっている箇所(ビード)の色も変化します。参考までに、以下にチタン溶接の品質と色調の一覧を紹介します。

 

色調 合否 品質
銀色 健全な状態
金もしくは麦色 ほとんど問題のない状態
紫色・青色 延性に多少影響があるが、品質にはほとんど影響がない状態
青白色・暗灰色 × 延性が低下。かなりコンタミネーション(酸化)が目立つ状態
白色・黄白色 × 非常に脆弱な状態

 

また、溶接部の変色に金属光沢が見られない場合も、品質が悪いと判断できます。そのため、チタンの溶接欠陥は、色合いと光沢をポイントに判断しましょう。

 

 

チタンと異種材料との溶接について

 

溶接が難しいチタンは、他の金属との溶接が不可能と言われています。

理由としては、異種材料と溶接を行うと、もろい金属間化合物ができてしまうためです。そのため、チタンと他の金属を接合する際には、ろう付けを行います。

 

ろう付けとは?

接合する部材の間に、融点が母材よりも低い合金を溶かして毛細管現象で浸透拡散させ、冷却・凝固することによって接合する方法

 

ただし、ジルコニウムやタンタル、ハフニウムなど、チタンと同じ活性金属の場合は溶接が可能です。

 

 

チタンの溶接事例

 

最後に、大阪の九条工場の職人が行ったチタン溶接の事例を写真を交えて紹介します。

チタンの溶接事例

▲スクリュー状など、複雑な溶接も可能

 

大阪の九条町には、金属加工のエキスパートが多くいます。

そのため、他社で断られた場合でも金属加工は可能です。チタンの溶接をはじめ、金属加工にお悩みの際はぜひ株式会社新進にご相談ください。

≫お問い合わせはこちらをクリック

 

 

関連記事

 

 

TOP