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切削加工とは?|使用する機械・工具の種類とそれぞれの事例
切削加工
2022.6.27
切削加工は、金属加工において最もメジャーといえる方法の1つで、多様な金属材料をさまざまな大きさや形状にできることがメリットといえます。
しかし、最新の機械や工具を用いての加工とはいえ、職人が持つ経験や技術によって加工製品の仕上がりは大きく違ってくるのが事実です。
本記事では切削加工の種類や使用機器・工具、そしてメリット・デメリットまでわかりやすく解説していきます。
切削加工の基礎知識
鋼やアルミニウム合金・黄銅・ステンレスなどの金属材料を、刃物が付いた工具で加工物の不要部を刃物で切りくずとして削り取ることで、目的に沿った形状・大きさに仕上げる方法を指します。
切削加工の代表的なものとして、旋盤を用いての旋盤加工、フライス盤を用いるフライス加工などが挙げられます。金属材料の加工法としては、型に流す鋳造や叩いて形状を造る鍛造以外で最も一般的な方法です。
多様な金属材料に加工可能で金型も不要。かつ比較的高い精度の仕上がりとなり、多品種・小ロットにも対応できるのが大きな特徴といえます。
工作機械の動作
切削加工は、基本的に工作機械を使用して行います。工作機械は色々な形状を作り出すために、主に以下の3つの動作で削り出します。
- 主運動
- 送り運動
- 位置調整運動
主運動は切削速度で表し、1分間でどれくらい削り出すかを示します。送り運動は送り速度とも言われ、1分間でどの程度進むかを表します。
位置調整運動は切り込み量と言われ、工作物にどれくらい食い込ませるかを示しています。
これら3つの条件を、金属の特性を加味して適切に設定することで、高い製品を仕上げることが可能となります。
使用する切削工具
切削加工時に工作機械に取り付ける刃物の総称を切削工具と呼びますが、代表的な切削工具は以下となります。
- バイト
旋盤加工に使用
- フライス
フライス加工に使用する工具の総称で正面・平面・側面と用途により使い分ける
- エンドミル
フライス加工に用いられ、側面や段差、溝を掘ることに特化
- ドリル
穴あけ加工に使用。素材や穴の大きさ・用途により数種を使い分ける
切削加工の種類と使用する切削機械
切削加工は、以下の3つに分類されます。
- 旋削(旋盤)加工
- 転削(フライス)加工
- ドリル(穴あけ)加工
回転させた金属材量に工具を当てる旋削加工、金属材量を固定して工具を回転させる転削加工、ドリルを用い金属材量に穴を開ける穴あけ加工に大きく分けられます。
また、切削する機械に取り付ける刃物(切削工具)は、加工の種類により単刃や多刃を用いますが、下記では各々の特徴や使用する機械・工具などについて簡単に紹介します。
旋盤加工
旋盤機で金属材料を固定したうえで回転させ、単刃工具であるバイトを当てて切削する方法です。シャフトやノズルなど、その形状から「丸物」とも呼ばれる製品の切削に適しています。
旋盤機には、工物や工具の取付けや加工作業など、多くの工程を職人が行う汎用旋盤と、前者の送り動作を事前に作成したプログラムに沿って動かせるNC旋盤があります。詳しくは次の記事をご覧ください。
フライス加工
旋盤加工と違い、機械に固定させた金属材量にフライスと呼ばれる切れ刃が回転する工具を当て切削するため転削加工とも呼ばれ、角材の平面・側面・段差・溝・穴加工に特化しています。
工具の中でも外周と底面に切れ刃をもつエンドミルが最も汎用的で、平面・曲面と両方の加工が可能です。加工には、汎用フライス・NCフライスなどの機械が用いられますが、マシニングセンタを使用するケースも増えています。
≫フライス加工とは|主な特徴と種類、行う場合の注意点について
穴あけ加工
回転装置を用いた切削加工の中でも基本といえるのがこの穴あけ加工で、ドリル加工がメインの方法です。
ドリル加工は、ボール盤に取り付けたドリルを使い金属材量に穴を開ける加工法で、ドリルはらせん状の溝が付いたツイストドリルが最も一般的です。
ただし、金属材量や穴の大きさ・用途により円筒形状のストレートシャンクドリル、テーパーを付けたテーパーシャンクドリル、下穴加工・心出しにはセンター穴ドリル、深穴加工にはガンドリルなど使い分ける必要があります。
≫穴あけ加工とは?|ドリル加工の特徴や種類、工具について解説
タップ加工
タップ加工はドリルで開けられた穴にねじ穴を作るもので、先端がタップと呼ばれ加工物にくい付きやすくなるようねじ状の切れ刃が付いた工具を用いて加工します。
このタップにはテーパー状に加工された増径タップと、貫通ねじ穴などに用いられる等径タップがあり、金属材料の硬さに適したものを選択する必要があります。
穴あけ加工では、とにかく穴が曲がらないよう小径のドリルであらかじめ穴を開けるセンター穴加工の実施や、くい付き時の芯ずれ防止にダブルマージンを採用した高剛性のドリルを選ぶようにしましょう。
切削加工のメリット・デメリット
切削加工のよさは多種多様な金属材量を金型も使用せず、さまざまな大きさや厚さ・形状に加工することで高品質でバリエーション豊かな製品が作れる点に尽きます。
とはいえ、金属材料各々の特性もあり、加工する製品によって向き不向きもあるのも事実です。下記では切削加工のメリットだけでなく、デメリットも踏まえ解説していきます。
メリット
切削加工のメリットは以下の3つがあります
- コストパフォーマンスの高さ
- 多様な金属材料も対応可能で高精度の製品が作れる
- 複雑な形状の加工が可能
コストパフォーマンスの高さ
金型や加熱を要する鋳造や鍛造加工など、時間もコストもかかる方法に比べ、これらを必要としない切削加工は経済性に優れ、精度の高さと比べてもバランスがとれています。
多様な金属材料も対応可能で高精度の製品が作れる
若干の向き不向きはあるものの、鋼やアルミニウム合金・黄銅・ステンレスから難削材のチタンやハステロイまで、基本的にはどんな金属材料も加工が可能です。
複雑な形状の加工が可能
切削加工は板金加工のように金属材料の厚みによる制限がほぼ無いため、機械の加工可能な範囲であれば複雑なものでも目的の形状に加工できます。
また、切削工具の位置が選べる多軸加工機の登場により、上面だけでなく前後左右からの加工が可能になった点も大きいといえるでしょう。
デメリット
切削加工のデメリットは以下の3つです。
- 大量生産だとコストが割高になる
- 同形状製品の加工に手間がかかる
- 職人の高い技術・知識が必要
大量生産だとコストが割高になる
金属材量を塊から削り出す切削加工だと切りくずが無駄になるため、製品によっては金型を用いる鋳造の方が低コストになるケースがあります。
また、複雑な形状を加工する際も1つあたりの加工時間は長くなり、大量生産の場合どうしても割高になるため、加工方法を見極めるのも重要です。
同形状製品の加工に手間がかかる
切削には刃物を使用するため、摩耗などの変化が生じやすく、寸法や面粗度などを加工部品ごとに細かくメンテナンスする必要があります。
職人の高い技術・知識が必要
切削加工における製品の高精度な仕上がりには熟練の技術はもちろん、金属材料に対してどのような機械や刃などの切削工具を用いるかを見極める知識は必須です。
切削加工は技術・経験次第で仕上がりが大きく異なる
切削加工はさまざまな切削機械と加工法に適した工具を用いて、複雑な形状の加工を高精度に仕上げることができます。
ただし、加工する金属材量の性質を見極めたうえで、どの設備でどの加工法を選択するかによって、仕上がりは大きく左右されてしまいます。
切削加工において、職人の確かな目・高い技術と豊富な経験が求められるのは、この点がとりわけ重要となるためです。
高精度な切削加工はコスト面もともかく、精度の高い加工が可能な設備の有無や、経験があり高い技術を持つ職人がいるかも大切なポイントになるでしょう。
切削加工の事例を紹介
株式会社新進では、大阪九条町の職人300人と提携して、製品の切削加工を行なっています。
これまでにコーディネートした製品は、切削加工の製品例|大阪・新進の部品製作の依頼方法と流れに掲載していますが、その中からピックアップしてご紹介しますのでご覧ください。
▲最も一般的なステンレス鋼SUS304を旋盤 + ボーリングで滑らかな仕上りのチューブに
▲難切削材料のハステロイも当社ならこの通り
▲切削が難しいチタンの丸棒を旋盤 + フライス + 放電 + ワイヤー + タップでホルダーへ
▲このような複数の穴あけ加工にも対応
ものづくりの一大拠点大阪・九条で培われた町工場の持つ高い技術力と現場力で「他社から断られた案件」「小ロット依頼」を始め、複雑な形状への加工や扱いが難しい金属材量への加工も対応できます。
各種切削加工をご検討中なら、まずは株式会社新進にお気軽にお問い合わせください。
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