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アルミと鉄の溶接|難しい理由と接合可能な2つの方法を解説
溶接
2024.5.2
アルミと鉄の溶接は、異種金属の中でも特に難しいとされています。これは溶融点や熱伝導率が大きく異なるためであり、基本的にはアルミと鉄は溶接が不可能とも言われるほどです。
しかし、現在ではさまざまな接合の方法がありますので、対応できないわけでもありません。例えば、CMT溶接や摩擦攪拌接合であれば、この2つの組み合わせでも接合は可能と言えます。
この記事では、アルミと鉄の溶接が難しい理由を解説しました。加えて、2つを接合する方法も紹介しましたので、検討の資料としてご覧ください。
アルミと鉄の溶接が難しい理由
アルミと鉄は異種金属になるため溶接はとても難しいと言えます。金属にはそれぞれに特性があり、それらが異なる金属ではまず一致しません。
その中でもアルミと鉄は特性が大きく違う組み合わせです。具体的には次の2つの違いによって溶接がとても困難になっています。
- 溶融点が異なる
- 熱伝導率が異なる
溶融点が異なる
溶融点とは、金属が溶け始める温度のことです。溶接は2つの金属を溶かして行う作業なので、どちらかの溶融点が高いと非常に難しくなります。
アルミと鉄に熱を加えると、アルミが真っ先に溶け始めますが、その温度では鉄は全く溶けていません。そして、鉄が溶ける温度に達したときにはアルミはドロドロに溶け落ちるので、溶融点の違いは大きな障害になるのです。
加えて、アルミは表面が酸化皮膜に覆われています。そして、この皮膜の溶融点は約2,000℃なので、これも溶接を難しくしている原因と言えます。
熱伝導率が異なる
熱伝導率とは、その金属内の熱量の伝わりやすさを表します。この数値が高いと熱し易く冷め易い金属であり、アルミはその代表とも言えるのです。
アルミは鉄の3倍もの熱伝導率です。これにより、アルミは溶接時の熱が全体に広がりやすく、時間と共に溶けるスピードがどんどん早くなる性質があります。
そのため、溶接する速度を少しずつ早めるなどの対策が必要ですが、鉄はその必要がないので矛盾が生じてしまうのです。
アルミと鉄の溶接ができる2つの方法
アルミと鉄の異種金属溶接は、基本的にはできないといっても過言ではありません。しかし、現在は接合方法にもさまざまあり、アルミ・鉄の組み合わせでも以下であれば可能です。
- CMT溶接
- 摩擦攪拌接合
CMT溶接
フロニウス社が世界で初めて開発した溶接機で、CMTはCold Metal Transferの頭文字を合わせた言葉です。
ホットプロセスとコールドプロセスを交互に繰り返し、低温処理を行うことでプールの溶け落ちを防いだり接合性の向上を図っています。
摩擦攪拌接合
摩擦攪拌接合(FSW)は1990年代にイギリスで開発された方法で、現在は鉄道や航空機器、半導体機器など幅広く活用されています。溶接のように溶かすわけではなく、摩擦熱で柔らかくして材料を混ぜ合わせることで接合する仕組みです。
シールドガスが不要で、煙や粉塵も少ないなどのさまざまなメリットがあります。一方で、コストが高く技術面でも高いハードルがあるため、あまり普及していないのが現状です。
以上です。アルミと鉄の溶接はかなり難しい上に、接合できても腐食などの問題もあります。
株式会社新進では、異種金属の溶接を始めとして金属加工のコーディネートをしています。お困りの際はお気軽に以下よりお問い合わせください。
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