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ステンレスと鉄の溶接|腐食の状況と溶接する場合のポイントについて

溶接

2024.4.17

ステンレスと鉄は異なる金属です。つまり、異種金属となり溶接はかなり難しいですが、この2つの組み合わせはその特性上、比較的接合がしやすい金属でもあります。

とはいえ、同じ金属での溶接ではないため、互いの特性を考慮して作業しなくてはいけません。加えて、この2つ特有の腐食の現れ方があるので、その点も抑えることが求められます。

 

この記事では、ステンレスと鉄の溶接における特徴を解説しました。合わせて、接合する際のポイントもまとめましたので、作業する際の参考としてもご覧ください。

 

 

ステンレスと鉄の溶接がしやすい理由

 

異種金属の溶接は基本的にかなり難しいとされています。これは、それぞれの金属で電位や特性が異なるためであり、これにより腐食が進み耐久力等が大きく損なわれるのです。

 

しかし、ステンレスと鉄は比較的溶接がしやすいと言えます。なぜなら、ステンレスは鉄を主成分とする金属であり、溶融温度や熱伝導率が鉄と似ているためです。

そのため、異種金属の中では溶接が取り組みやすい組み合わせとなります。

 

 

ステンレスと鉄を溶接した場合の腐食の特徴

 

特性が似ているとは言え、ステンレスと鉄は異なる金属です。そのため、溶接により腐食は起こる上、以下のような特徴もあります。

 

  • 炭素鋼で腐食が進む
  • 腐食は熱影響部のみ
  • 炭素鋼が下だと腐食が進みやすい

 

ステンレスは耐食性に優れているため、腐食は鉄側に発生します。しかし、この腐食は鉄全体には及ばず、溶接時の熱が影響する範囲にのみ見られるのが特徴です。

加えて、腐食の量はステンレスを上にした縦置きにすると大きくなります。その量は、鉄単体の溶接と比べて1.4倍になるケースもあるので、製品を使用する環境は考慮しなくてはいけません。

 

 

ステンレスと鉄の溶接で注意すべきポイント

 

異種金属の中では取り組みやすいステンレスと鉄ですが、普通の溶接と比べると難易度がかなり高いと言えます。それは、両方の溶接における特性を理解する必要があり、その上で作業を行うことが求められるため経験と知識が必要です。

 

加えて、この組み合わせでは次の3つに気をつける必要があります。

 

3つの注意点
  • 使用する溶接棒に注意する
  • 成分変化による影響を考慮して溶接する
  • 組み合わせと使用環境を考慮する

 

 

使用する溶接棒に注意する

 

この2つの溶接では、基本的にはSUS309の溶接棒を使います。ステンレスにはクロムとニッケルが含まれていますが、鉄と溶接すると希釈されてこの量が減り、溶接割れなどを引き起こす可能性が高いです。

 

SUS309にはクロムとニッケルが多く含まれています。そのため、溶接でステンレスの成分が希釈されにくいので、製品にも欠陥が現れにくくなるのです。

 

 

溶け込み量を意識する

 

溶接棒にSUS309を使用しても高温割れを引き起こす可能性はあります。これは、鉄の溶け込み量が原因となっているため、溶接条件や方法を工夫しなければなりません。

 

鉄の溶け込みが多いと、ステンレスのクロムやニッケルが希釈されてフェライト組織が減ります。その結果、高温割れが発生しやすくなるため、バタリングや電流を低くするなどして鉄の溶け込みを抑えることが大切です。

 

 

組み合わせと使用環境を考慮する

 

ステンレスと鉄は、その置き方によっても腐食の具合が変わります。基本的には縦置きでステンレスが上にある状況だと腐食が進み、その逆は進みにくいです。

加えて、ステンレスと鉄の種類によってその進行具合も違います。そのため、腐食を抑えるためには、組み合わせと製品を置く環境も踏まえて考えることが大切です。

 

参考に組み合わせと腐食の進み具合を調査した結果を紹介します。

 

出典:ステンレス鋼と炭素鋼を溶接接合した厚板の促進腐食試験による異種金属接触腐食の発現性/第41回土木学会関東支部技術研究発表会

 

 

以上です。株式会社新進では、ステンレスと鉄の組み合わせを始めとする異種金属の溶接をコーディネートしています。

お困りの際は以下のページよりお気軽にお問い合わせください。

 

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