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鉄の加工方法とポイント|個人で行う場合の注意点について

2023.4.14

鉄は日常生活の様々な場面で使用されている金属のひとつです。

しかし、純粋な鉄は錆びやすくもろい特徴があります。そのため、使用されている鉄の多くは炭素を含んだ鋼鉄ですが、鋼鉄は炭素の量によって硬さも全然違います。

 

鉄の加工方法は主に4つあり、切削加工、切断加工、曲げ加工、溶接です。部材の大きさや求める形状によって、適切な加工方法を選択する必要があります。

本記事では、鉄の特徴や加工方法、加工時のポイントを解説します。

 

 

鉄の主な特徴

 

鉄の特徴は主に下記の7つが挙げられます。

 

  • 他の元素と反応が起こりやすい
  • 錆びやすい
  • 炭素量に比例して硬くなる
  • 延びやすく変形させやすい
  • 加工硬化する
  • 熱処理により硬さやねばりを操作できる
  • 磁性がある

 

鉄は原子の構造上、他の元素と化合しやすい特徴を持っています。そのため、他の元素と組み合わせ様々な特徴を持たせられます。

一方で、鉄と酸素が化合することによって錆びてしまうので、製品として使用するときには塗装やめっき工程が必要です。

 

また、鉄は延びやすく変形させやすい特徴を持つので、様々な形に加工可能です。変形させやすい一方で、外部から圧力を加えると固まりやすい特徴があります。

そのため、製鋼所では圧延工程を用意し、素材を硬く仕上げています。

 

なお、鉄は加工硬化しやすい特徴がありますが、加熱により加工硬化や組織のむらを元に戻すことが可能です。

熱処理の方法としては、焼きなましや焼き入れ、析出硬化など様々な方法があります。

 

 

鉄は炭素の量で加工性が異なる

 

鉄は炭素を加えることによって、鋼になり硬度が増します。鋼とは、炭素の含有量が0.02~2%までの鉄鋼材です。

 

鉄は、炭素の量により名称や特徴が下記のように変わります。

 

名称 炭素含有量 特徴
純鉄 0.02%未満 白い光沢を持っている

錆びやすく脆い

鋼鉄 0.02~2% 炭素量が増えるほど硬い

粘りが弱く脆い

鋳鉄 2%以上 低い温度で鋳造できる

種類が多い

 

炭素をほとんど含んでいない純鉄は白色であり、普段の生活で想像する灰色の鉄とは異なります。

純鉄は錆びやすくもろいので加工には使用されにくく、金属加工では鋼鉄が使用される場合が多いです。そのため、生活の中で目にする鉄のほとんどは鋼鉄です。

 

 

鉄の加工方法とポイント

 

鉄は伸びやすいため、加工性にとても優れています。

方法としては、主に以下4つの方法を行い製品を仕上げることが多いです。それぞれの方法についてポイントを解説します。

 

  • 切削加工
  • 切断加工
  • 曲げ加工
  • 溶接

 

 

切削加工

 

切削加工では、金属材の不要な部分を工具で削り、必要な大きさや形に整えます。切削加工は、求める形状や使用する工具によって、その種類が異なります。

 

種類 特徴
旋盤加工 工作物を回転させ、切削工具で外周や端を削り取る
フライス加工 フライス盤と切削工具を用い、平面や溝などを削る
穴あけ加工 ドリルなどで部材に穴を開ける
中ぐり加工 ドリルなどで穴を開けた後に、穴の内面を広げる

 

旋盤加工やフライス加工は、卓上で使えるものもあるため個人でも可能です。ただし、加工精度は切削速度などの条件によって変わるため、経験が大きく影響します。

詳しくは次のページにまとめましたので、そちらをご覧ください。

≫鉄の切削加工の方法|炭素鋼の切削性の違いと依頼先を選ぶ際のポイント

 

 

切断加工

 

切断加工とはグラインダなどの工具を使用し、部材を切断する加工方法です。長い丸棒や角棒を切断し、必要な長さに切り出す場合に行います。

切断加工に使用される工具は、主に下記の通りです。

 

種類 特徴
ハンドソー 棒状の金属切断時に使用する

安価で入手できる

大量に切断する際には不向き

レシプロソー ハンドソーを電動にした工具

刃の種類を変えれば様々な部材に対応できる

ディスクグラインダ 切断から面取り、バリ取りまで行える工具

円盤が高速で回転し、部材を切断・研磨する

パワーが強いので安全面に注意して使用する

高速切断機 ディスクグラインダを大型にした工具

短時間で大量の金属を切断できる

材料を固定するのでパイプなどの切断に適する

チップソー切断機 切断用のディスクを使用する工具

高速切断機より速く綺麗に切断できる

 

個人で行うのであれば、ハンドソーやレシプロソーから使ってみるのが良いでしょう。

ディスクグラインダは個人でも使用できますが、火花が出るので保護手袋と眼鏡を着用し、服装にも細心の注意を払いましょう。

≫鉄の切断で使用する工具の種類|個人でカットする場合の4つの注意点

 

 

曲げ加工

 

曲げ加工とは、部材に圧力を加え必要な形状に整える加工です。使用する工具や圧力の加え方によって、様々な形状を作ることができます。

 

工場で行う場合は、ベンダーと呼ばれるプレス機を使って加工します。機械で使うため、大量に製造できる点がメリットです。

個人で行う場合は以下の工具を使用して、「てこの原理」にそって曲げるのが基本です。

 

  • バイス・万力

材料を固定するときに使用する

  • モンキーレンチ、メガネレンチ、ハンマー

材料に圧力を加えるときに使用する

 

ただし、鉄は炭素量によって硬さが変わるので、部材の種類は事前に把握することをおすすめします。

材料が硬い場合、あるいは大量に製品を作る場合は、機械加工(プレス機)のある業者に依頼することも検討しましょう。

≫鉄板の曲げ加工|影響する特性と行う際の具体的なポイントを解説

 

 

溶接

 

溶接とは、熱もしくは圧力によって部材同士を接合する加工方法です。主に下記の3種類があります。

 

  • 融接
  • 圧接
  • ろう接

 

それぞれの方法で、仕上がり時の品質や適した作業環境が異なります。作業環境や加工精度、部材の大きさによって適した方法を選ばなくてはいけません。

また、溶接作業中の鉄の温度は、3,000度近くまで上がることもあります。そのため、膨張収縮が起こり、溶接箇所とそうでない箇所で歪みが生じるため注意が必要です。

 

鉄の溶接は、個人でも溶接機を用意すれば可能です。ただし、作業時には部材が高温になり大変危険なので、保護メガネの着用など安全対策をしっかりと行いましょう。

≫鉄の溶接方法とポイント|溶接欠陥への対策を解説

 

 

鉄の加工を個人で行う場合の注意

 

個人で鉄の加工を行う場合は、安全面に十分注意して作業しなければなりません。具体的には、下記の対策が有効です。

 

具体的な安全対策
  • 加工部分に顔や手を近づけない
  • 保護メガネを着用する
  • 手袋は使用しない(使う場合は革手袋)
  • 金属加工に適した作業着で行う
  • 金属はできるだけ固定して加工する

 

切断加工では、ディスクグラインダなどの回転する工具を使います。加工部を覗き込んでいるうちに、顔や手が近付いてしまい、回転に巻き込まれる可能性もあります。

また、切りくずが飛んでくることも多く、目に入ると大変危険です。保護メガネをして目を守るように心がけましょう。

 

作業中の服装は、できるだけ身体にフィットしていて、耐火性のある素材のものを着用してください。ゆったりしていると、加工中に衣服が巻き込まれることもあり、火花によって衣服に引火して大火傷をした事故も実際に起きています。

 

合わせて、手袋(特に軍手)は使わないようにしましょう。

布製だと刃物に引っかかって、手が巻き込まれる可能性が高くなります。使用する場合は、革製の作業用手袋がありますので、そちらを使うことを徹底してください。

 

以上、鉄の加工についてまとめました。

株式会社新進では、金属加工のコーディネートを行っています。個人のご相談でも受け付けていますので、お気軽に以下のページからお問い合わせください。

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