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金属加工とは|5つの方法と種類を特徴を踏まえ解説
金属加工技術
2024.3.14
金属加工とは、金属を目的の形状や能力にするために手を加える方法すべてを指します。スマートフォンやスプーンなどの食器類、自動車などは金属加工を施したのちに製品として販売されているため、現在では欠かせない技術なのです。
この記事では、金属加工とは何かを解説し、具体的な方法やその種類について写真を交えてまとめました。加えて、金属材ごとの加工に関するポイントも押さえましたので、金属加工の基礎知識としてご覧ください。
金属加工とは?
金属加工は人間の生活に必須の技術です。身近にあるすべての家電製品には必ず加工された金属が使われており、ひとつの製品・部品だけでも様々な方法で手が加えられています。
例えば金属製のカトラリーであれば、切削加工にプレス加工、研磨加工に表面処理と色々な工程を経ています。どれかひとつでも抜けると今の形にはならないので、金属加工技術はすべて重要なのです。
金属加工の歴史
金属加工の歴史は古く、紀元前7,000年ごろには銅の鍛造や接合が始まったとされています。また、紀元前3,000年ごろの古代エジプトでは機械化された旋盤加工機が使われており、2人で作業が行われていたようです。
日本へは紀元前300年ごろに鉄器などが伝来し、その200年後には鍛造がスタートしています。そこから仏像や刀づくりに技術が進歩・発展していき、今の日本の金属加工技術があるのです。
金属加工と機械加工の違い
金属加工では専用の工作機械を使う場合が多いです。そのため、金属加工は機械加工とも呼ばれますが、厳密には以下の違いがあります。
- 金属加工:機械加工を含む金属に手を加える加工全般
- 機械加工:工作機械を使った加工で金属以外も対象になる
機械加工はプラスチックなどの製品にも使われているので、必ずしも金属というわけではありません。
金属加工5つの種類と方法
金属加工は大きく5つの種類に分類でき、それぞれの中でさらに多くの方法が行われています。具体的には次の図の通りです。
除去加工
除去加工は、金属材から必要のない部分を取り除く方法です。基本的には刃物や砥石を機械に取り付けて使用し、製品の外形を整えています。
除去加工の具体的な方法は次の通りです。それぞれ解説します。
- 切削加工
- 研削加工
- 研磨加工
切削加工
金属加工において最もメジャーで、刃物を使用して不要な部分を削り落とす作業です。
旋盤やフライス盤、ボール盤などの工作機械を使い、金属材を平たくしたり穴を開ける加工を行っています。詳しくは次の記事をご覧ください。
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研削加工
▲研削加工の様子
表面に砥粒(とりゅう)のついた砥石を回転させ、金属材を削り出す作業です。砥粒は小さい刃物にあたり、ダイヤモンドなどの非常に硬い鉱物を使っています。
研削加工にも、丸い棒状の金属を回転させる円筒研削や、穴のあるものを回転させ削る内面検索などの種類があります。
研磨加工
研磨加工も砥粒を使い金属の表面を削る作業を行っています。研削加工との違いは工程の違いにあり、形を作るのは研削加工で、最終的な仕上げをし光沢を出すのが研磨加工です。
研磨にも、砥石を使う砥石研磨やフェルトなどに研磨剤をつけて行うバフ研磨などの種類があり、それぞれに特徴が異なります。
成形加工
成形加工は、金属材を必要な形に変形させる手法のことです。力を加えて成形する場合と、熱をいれて形をつくる場合に大きく分かれており、具体的には次の種類があります。
- 鋳造(ちゅうぞう)
- 鍛造(たんぞう)
- プレス加工
鋳造(ちゅうぞう)
▲鋳造の製品
熱で溶かした金属を型に流し込み、それを冷やして固める方法が鋳造です。指輪やマンホールなど、身近に多くの鋳造品があり、歴史的にも金属加工の中では古い手法と言えます。
型が必要なので最初の手間はデメリットとなりますが、型を作れば同じ製品を早く作ることが可能というメリットもあります。
鍛造(たんぞう)
鍛造は刀づくりに代表される手法で、金属をハンマー等で叩いたり金型で押しつぶすことにより形を作っています。金属を高温にして行う熱間鍛造と常温で行う冷間鍛造の2種類があり、職人の手で行う自由鍛造から鍛造用の機械を使用するケースと方法は様々です。
現在は自動化された鍛造ラインもあるため、自動車のエンジン部品などの製造に使われています。
プレス加工
プレス加工は専用の金型を先に作り、金属に圧力を加えて金型に沿った形に整える手法です。金属の一部を切るせん断や曲げ、円錐などを製作できる絞り加工を行うことができます。
専用の機械を使うため、同じ精度で大量に加工ができるメリットがある一方、金型の良し悪しが仕上がりに大きく影響するので、金型がプレス加工の生命線と言えます。
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付加加工
付加加工は、金属材にさらに材料を追加して取り付ける方法を指します。代表的な手法は次の3つです。
- 溶接
- 接着
- 接合
溶接
▲溶接作業の様子
溶接は加工する金属そのものを溶かしてくっつける方法です。アーク溶接やティグ溶接など様々な種類があり、しっかりと溶接すれば強度が高く保てる上に見た目もすっきりします。
ただし、溶け込みが浅いと溶接欠陥となり、製品の品質を下げてしまう可能性も。そのため、溶接は作業者の経験や技術に大きく影響します。
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接着
加工する金属とは別の材料を溶かし、それを接着剤にしてくっつける手法です。ろう付けとはんだ付けの2つの方法に分かれ、どちらも接合する金属そのものは溶かさないので母材に傷がつかないメリットがあります。
接合
リベットやボルトなどの金具を使ってくっつける方法で、機械的接合とも言われています。高い技術が必要なく、分解も簡単にできることが特徴です。
一方で、金属材に穴を空ける必要があり、加えてボルト等が追加されるので全体的に重量が増えるデメリットもあります。
特殊加工
これまでに紹介した機械的な力を使ったものではなく、科学的なエネルギーを用いて行う加工を指します。具体的には次の3つがその代表です。
- レーザー加工
- 放電加工
- プラズマ加工
レーザー加工
▲レーザー加工の様子
光を1点に集中させて照射することで金属加工を行う方法です。切断や溶接、彫刻とできる内容は幅広く、金属材そのものに触れないので傷がつかないメリットがあります。
詳しくは次の記事をご覧ください。
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放電加工
電気を利用する加工方法で、水などの加工液の中に母材を入れて放電による熱で金属を溶かして行います。
かなり細かい加工が可能で、ミクロン単位で求めることができるため、高精度な仕上がりになる点が大きなメリットです。また、切削等がしにくい硬い金属でも加工ができることも魅力と言えます。
プラズマ加工
物質の第四の状態とされるプラズマを用いた方法で、電極の間にプラズマアークを発生させて金属を加工します。
とても高温になるので処理が早く、多くの金属に対応ができてランニングコストも低いです。ただし、電源がない場所では使用できないため、導入する際の設備コストは高くなる傾向にあります。
熱処理・表面加工
これまで解説した金属加工は、製品の形状を作るための方法でした。熱処理や表面加工は、金属材そのものの性質を変えるために行われる方法です。
代表的なものはつぎの3つです。
- 熱処理
- めっき
- アルマイト
熱処理
金属に加熱や冷却をして様々な性質を向上させる方法です。
熱処理は焼入れ・焼戻し・焼なまし・焼ならしの4つの方法に分類でき、それぞれで固くなる・粘りが出るなどの得られる特性が異なります。
めっき
金属の表面を別の金属の膜で覆う方法で、耐食性や装飾性を高めるために行われています。めっきにはニッケルやクロム、金などが使用されており、真空状態で行う乾式と水溶液の中で行う湿式の2つに大きく分類されます。
アルマイト
▲アルマイト製品
アルマイトはアルミの表面に人工的な酸化皮膜を作る手法です。耐食性が高まるのでさびにくくなり、強度もアルミよりも上がります。
また、染料を使うことできれいに着色もでき、めっきとは異なり色が落ちにくいメリットもあります。
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金属材ごとの加工について
▲金属加工した製品
すべての金属製品は、必ず何かの加工が行われています。しかし、金属はそれぞれに性質が異なっており、加工内容ごとに向き不向きもあります。
切削全般 | プレス | 溶接 | レーザー | |
ステンレス | △ | 〇 | △ | 〇 |
アルミ | 〇 | 〇 | △ | △ |
例えばステンレスは、強度が高いので切削加工が難しいと言えます。また、フェライト系やマルテンサイト系などの種類に分かれており、特性も異なるので溶接も大変です。
一方でアルミは、比較的柔らかいので切削加工やプレス加工がやりやすくなります。しかし、熱伝導率が高いために溶接が難しく、表面で光が反射するのでレーザー加工がしにくいです。
以上のように、金属加工は材料によって良し悪しが変わります。そのため、どんな性質がありどのように加工するのかを十分に理解しなくては、良い品質の製品は作れません。
株式会社新進では、金属加工職人300名以上とともに、大坂で金属製品のコーディネートを行っています。お困りの際は以下ページよりお気軽にお問い合わせください。