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ステンレスのレーザー加工の特徴|不良の種類と対策、加工事例を紹介
ステンレス
2023.8.10
ステンレスのレーザー加工は、使用するアシストガスによって現れる現象が違います。また、ドロスや焼けなど、レーザーを使うと様々な不良が起きやすいのもステンレスの特徴です。
この記事では、ステンレスのレーザー加工の特徴を解説しました。どんな欠陥があるのか、その具体的な対策は何なのかをまとめていています。
しっかりと対策をしないと、見た目だけではなく寸法にも大きな違いが出ます。現象と起きる理由を理解した上で、レーザー加工を行うことが大切です。
ステンレスのレーザー加工の特徴
レーザー加工は、プラズマを使った加工よりも切断の溝幅が少ないです。そのため、ミリ単位で加工が行えるので、ステンレス製品においても重宝されています。
ただし、ステンレスのレーザー加工では、使用するアシストガスに注意が必要です。
窒素とエアーは速く切断ができますが、酸素はカットできる速度が比較的落ちます。ただし、板厚が2mm以下の場合は、酸素の方が速く加工ができるので特性が逆です。
使用するアシストガスが何なのかで、ステンレス製品の品質が大きく変わることに気をつけましょう。
ステンレスのレーザー加工による不良とその対策
レーザーを使用してステンレスを加工すると、様々な不良が起きる可能性があります。具体的には次の4つです。
- ひげ
- ドロス
- ひずみ
- 焼け
それぞれの不良の内容と、具体的な対策を解説します。
ひげ
レーザー加工では、最初にピアシングという穴あけの作業があります。この際に、溶解したステンレスが穴の周辺でひげ状に伸びることがあり、品質に大きく影響してしまいます。
スパッタなどを使うと、溶けたステンレスが表面に堆積しにくくなり、ひげの発生を抑制できます。
なお、アシストガスに酸素を使う場合、ひげは発生しません。これは溶解した金属が酸化されて、ステンレスに堆積するのが難しいためです。
ドロス
レーザーでエッジ部分を切断する際、裏面で玉状・氷柱状に溶けた金属が付着することがあります。これはドロスと呼ばれ、窒素やエアーを使用すると起きる現象です。
レーザー加工で直線からエッジに至る際、切断の速度が落ちてしまい、出力が大きくなります。これがドロスの原因なので、エッジ部では出力を弱めるか、円を描いてエッジをつけることで速度を落とさないようにすると良いです。
ひずみ
レーザーを照射すると、ステンレスは熱によって膨張します。膨張したまま切断すると、冷却して収縮した際にひずみとなって現れ、寸法に誤差が生じるのです。
NC(Numerical Control)加工機は数値制御されていて、形状をデータとして入力し正確に切り出すことができます。膨張に合わせて、寸法に任意で倍率をかけられるスケーリング機能があるので、収縮した後の寸法の誤差を小さくできます。
焼け
レーザー加工でステンレスを切断すると、表面は綺麗に仕上がりますが、裏面の切り口は茶色く焼けていることがあります。これは、周りの酸素によって酸化することが原因で、板厚が大きいほど焼けもひどくなります。
スパッタ防止剤を裏面に使うことで、酸素との接触を防げます。酸化しなければ焼けは起きないので、スパッタの代わりにマスキングテープでも同じ効果が期待できます。
また、ガスの噴射量を増やすと、速く冷却できるので焼けの範囲が小さくなります。小さい範囲なら、物理的に焼けを取り除くのも簡単です。
ステンレスのレーザー加工事例
株式会社新進では、ステンレスを中心に金属加工のコーディネートを行っています。以下はレーザー加工を行った事例です。
▲NC(数値制御)で正確に同じ形状を作れます
▲精密で綺麗な加工が可能です
以上です。レーザー切断以外でも、300を超える職人と共に、製品に合わせて適切な加工をコーディネートしています。
お困りの際は、以下のページよりお気軽にお問い合わせください。
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