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鉄の穴あけ加工の種類と方法|作業を行う場合の3つの注意
鉄
2023.7.4
鉄への穴あけ加工は、種類によって難しさが違います。炭素の多い鉄は硬度が高くなるため、ドリルの回転速度に気をつけなくてはいけません。
また、使用する工具にもたくさんの種類があります。鉄の種類や工具の材質などを考慮して、適切なものを選ぶことが大切です。
この記事では、鉄の穴あけ加工の方法について解説しました。具体的な注意点もまとめましたので、加工をする前の参考としてご覧ください。
鉄は種類によって穴あけ加工の難しさが変わる
鉄は炭素を加えることによって、鋼となり硬度が増し、様々な製品や部品に使用されています。鋼とは、炭素の含有量が0.02~2%までの鉄鋼材です。
鉄は、炭素の量により名称や特徴が変わります。
名称 | 炭素含有量 | 特徴 |
純鉄 | 0.02%未満 | 白い光沢を持っている
錆びやすく脆い |
鋼鉄 | 0.02~2% | 炭素量が増えるほど硬くなる
粘りが弱く脆い |
鋳鉄 | 2%以上 | 低い温度で鋳造可能
種類が多い |
炭素をほとんど含んでいない純鉄は、普段の生活範囲では目にする機会はほとんどありません
大抵は鋼鉄を使用していて、炭素量の幅が広い分、高度の違いも大きいです。硬度が違えば、穴あけする際の工具や条件も変わるので、注意する必要があります。
鉄の穴あけ加工の種類と使用する工具
穴あけ加工は、使用する工具によって以下の3つに分けられます。それぞれ順に特徴を解説します。
- 穴あけ(ドリル)加工
- リーマ加工
- タップ(ねじ切り)加工
穴あけ(ドリル)加工
穴あけ加工はドリルを用いて必要な深さの穴をあける方法です。ドリルには様々な種類があり、使い分けることで様々な形状の穴をあけられます。
種類 | 特徴 |
ツイストドリル |
先端の切れ刃で穴をあけ、らせんの溝部分から切りクズを排出する |
センタ穴ドリル | 旋盤作業時に必要になる固定用の穴をあける |
ガンドリル | 穴径の10~50倍以上の深い穴をあけるときに使用する |
段付きドリル | 段付き穴をあける
違う直径の穴を同時にあけられる |
リーマ加工
リーマ加工は、開けた穴を綺麗に整えるために行います。ドリルで開けた穴は、内径や仕上げ面があまり良い状態ではないため、それらを調整するためにリーマを使うのが一般的です。
種類 | 特徴 |
ハンドリーマ | ドリル加工後の精度を高める |
テーパーピンリーマ | テーパーピン差し込み用の穴の仕上げに使用される |
マシンリーマ | 機械加工を行うときに使用される |
ブリッジリーマ | 鋼板にピンや棒を打ち込む穴の調整時に使用される |
タップ(ねじ切り)加工
タップ加工は、ボルトやネジを差し込むために雌ネジの山を作る作業です。使用する工具の種類と特徴は、下記の通りです。
種類 | 特徴 |
ポイントタップ | 溝が縦に入っている
とおり穴を作成するときに使用する |
スパイラルタップ | らせん状の溝が入っている
止まり穴を作成するときに使用する |
ロールタップ | 金属に圧力をかけてネジ穴を作る
切りクズが出ない |
ナットタップ | ナットのネジ立てに使用する |
鉄の穴あけ加工を行う場合の注意
穴あけ加工は、市販の工具を使用すれば誰でも行えます。しかし、鉄の特性が原因で上手くいかない、あるいは大怪我をするケースもあり得ます。
そこで、穴あけする場合の注意点を3つ紹介します。
- 事故防止のため軍手は使用しない
- 鉄材の種類に合わせて穴あけの速度を変える
- 適切な工具を適切に使用する
事故防止のため軍手は使用しない
布製の軍手は、ほつれた糸が刃物に引っかかり、工具に巻き込まれてしまう恐れがあります。実際、回転式の加工機を使用していて、軍手が巻き込まれて作業者が死亡する、という事例もあるほどです。
どうしても手袋を使いたい場合は、糸がほつれる心配がない革製の手袋を使いましょう。ただし、基本的には手袋はNGですので、使わないことをおすすめします。
鉄材の種類に合わせて穴あけの速度を変える
鉄はその種類によって硬度が違うため、回転速度には気をつけましょう。基本としては、柔らかいものは速度を上げる、硬いものは速度を遅くします。硬いほど加工中の温度が上がりやすく、工具が痛みやすくなるためです。
速度等は、各メーカーが工具ごとに条件を示しているので、それらを参考にしましょう。また、切削油を使えば、摩擦熱を下げることができ、切りくずも排出しやすくなります。
適切な工具を適切に使用する
使用する工具次第で、加工の精度は大きく変わります。ドリルであれば、次の3つに注意して選びましょう。
- ドリルの材質
- ドリルの直径
- 穴あけする材料
これらの条件は、メーカーのカタログに記載されています。使用上の注意も書かれていますので、これらを参考に工具選びを行いましょう。
ただし、カタログ記載の条件は、あくまで参考程度に考えましょう。使用する機械などによって適切な速度は変わるので、調整しながら使うことが大切です。
以上、鉄の穴あけ加工についてまとめました。
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