営業時間(9:00-18:00 )
COLUMN
読み物
チタンの穴あけ加工が難しい理由|ドリルで穴開けする際の3つのポイント
チタン
2022.12.2
チタンは軽くて強いなど優れた特徴を持つ一方で、穴あけ加工が難しい金属でもあります。穴あけ加工が難しい理由としては、引張強度が高く工具が摩耗しやすい、熱伝導率が低く工具と部材に熱がこもりやすいなどがあります。
また、チタンの部材や製品が発火することはありませんが、チタンの切りくずは空気中の酸素や窒素と化合して発火する恐れがあります。そのため、作業環境や切りくずの処理には細心の注意を払いましょう。
質の高い穴あけ加工を行うには、ドリルの回転速度を遅くする、切削油を使用するなどが大切です。工具の状態や作業環境を確認し、工具や部材が振動しにくい作業環境を整えることも意識しましょう。
本記事では、チタンの穴あけ加工が難しい理由や加工時のポイントをわかりやすく解説していきます。
チタンの穴あけ加工が難しい理由
チタンは軽くて強く、サビにくいなど優れた特徴を持つ一方で、以下の理由で穴あけ加工を行うのは難しいです。
- 引張強度が高いので、工具が摩耗しやすい
- 熱伝導率が低いので、部材と工具に熱がこもりやすい
- ヤング率(金属の変形しやすさ)が低く、加工時に振動し加工面がガタガタになる
- 化学的に活性なので、空気中の酸素や窒素に触れると発火する恐れがある
上記のように、チタンや他の金属を加えたチタン合金は様々な理由で穴あけ加工が難しくなっています。
加工を成功させるには、部材として使用するチタンやチタン合金に関する深い知識や高い加工技術が必要です。
また、上記の加工が難しい理由の中で、作業時に最も注意しなければならないのは空気中の窒素や酸素と化合して発火が起きることです。
チタンの切りくずは火災の原因になる
チタンそのものが発火することはありませんが、加工時に発生した切りくずは空気中の酸素や窒素と化合して発火する恐れがあります。
そのため、切りくずがある場所で溶接やグラインダーを使用すると、火花が原因で火災が起きる可能性が高いです。
万が一、発火した場合には水をかけるのではなく、乾燥砂や乾燥塩、金属消火器などの使用が有効です。水を掛けると、火の勢いが強まる場合があります。
チタンの切りくずの扱いや加工時には細心の注意を払いましょう。
チタンのドリル加工を行う場合の3つのポイント
質の高い穴あけ加工を行うのであれば、以下の3点を意識して作業しましょう。
- ドリルの回転速度は遅くする
- 適切な切削油を使用する
- 工具や加工環境をチェックする
ドリルの回転速度は遅くする
チタンはヤング率が低く、工具を使用した際に部材が振動しやすい特徴を持っています。
そのため、ドリルの回転速度を速くしてしまうと部材の振動が大きくなり、加工精度が悪くなってしまいます。
- ドリルの回転速度を遅くして振動を抑える
- 振動が少ない工具を使用する
- 薄い部材の穴あけをするときには、びびりの発生に注意する
ドリルの回転速度をはじめとして、上記に注意して作業を行うのがおすすめです。
適切な切削油を使用する
チタンは熱伝導率が低いので、作業時に部材と工具に熱がこもりやすくなってしまいます。そのため、作業時に切削油を使用して熱を下げる工夫が必要です。
また、切削油を多めに使用すれば、工具に付着した切りくずも安全に除去できます。
なお、チタンの加工をする際にはエマルションタイプの切削油を使用しましょう。
エマルションタイプの油を使用し、供給量を4倍にすると工具の寿命が2倍に伸びたというデータもあります。
一方で、不水溶性切削油を使用した場合、供給量によって工具寿命が改善されるデータはないので、適正量の使用で良いでしょう。
工具や加工環境をチェックする
チタンは加工しにくく、工具の刃先が欠けるチッピングが起きやすいので注意が必要です。具体的には、下記に気をつけておくと良いでしょう。
- 工具の摩耗は一気に進むので普段から工具の状態をチェックする
- 部材をしっかりと固定して加工時の振動を減らす
- 工具を道路などの振動の影響を受けにくい場所に設置する
本記事で解説したように、チタンやチタン合金の穴あけ加工は難しいとされています。
加工をしても上手くいかなかった場合や業者から断れた場合には、ぜひ一度お問い合わせください。
関連記事