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ステンレスのねじ切り加工のコツ|タップが折れる原因と対策について
ステンレス
2023.1.18
ステンレスは削りにくく作業時に熱がこもりやすいので、ねじ切り加工が難しい金属として知られています。
行う場合はステンレス用のタップを使用する、回転数と送り速度を適切にする、切削油を使用するなどの工夫が重要です。また、作業時には切りくずを排出する、熱の発生を抑える、逃がす意識を持つのも大切です。
ステンレスは硬いので、加工時にタップが折れてしまう場合もあります。
タップが折れる原因はいくつかありますが、タップ自体の摩耗や切りくずを排出しきれていない、加工硬化を起こしているなどがあげられます。
本記事では、ステンレスのねじ切り加工を行う際のポイントを紹介します。ステンレスの特徴を理解し適切な加工条件を設定しましょう。
ステンレスのねじ切り加工が難しい理由
ステンレスは硬くさびにくいという優れた特徴を持つ一方で、ねじ切り加工は難しいです。そのため、加工時には金属の持つ特性を理解しておきましょう。
ねじ切り加工が難しい理由は、主に以下の通りです。
- 硬く削りにくい
- 粘性が高い
- 熱伝導率が低く熱がこもりやすい
- 加工時に発生する切りくずが工具にくっつきやすい
質の高い加工を行うには、上記の特性を理解して加工条件を設定しなければなりません。
ステンレスのねじ切り加工3つのコツ
ステンレスのねじ切り加工を行う際に意識しておきたいポイントを3つ紹介します。
- ステンレス用のタップを使用する
- 回転数と送り速度に注意する
- 切削油(クーラント)を使用する
ステンレス用のタップを使用する
ねじ切り加工に使用するタップはステンレス用のものを使用しましょう。
専用のタップは表面加工が施されている、切りくずを排出しやすい角度に設計してあるなど、ステンレスでねじ切り加工を行いやすいようになっているからです。
また、ねじ切り加工で使用するタップは主に以下の2種類に分けられます。
上記のように、タップの種類ごとに適した加工穴が決まっています。
また、スパイラルタップは切りくずを排出しやすく切れ味が良いので、ステンレス鋼など難削性への使用にも適しています。
回転数と送り速度に注意する
ステンレスは熱伝導率が低く、加工時には工具および部材に熱がこもりやすくなってしまいます。そのため、タップの回転数を遅くして少しでも熱の発生を防ぐことが重要です。
タップの回転数は送り速度にも影響します。
タップは1回転で1ピッチ(1山分)進むと決まっているので、回転数が早ければその分だけ1穴分の加工は速くなります。
しかし、ステンレスは熱がこもるので、送り速度を遅くする=回転数を遅くすることが求められます。
切削油(クーラント)を使用する
加工時に発生する熱の影響を少しでも抑えるために、ねじ切り加工時には切削油を使用しましょう。また、切削油を使用することによって、加工熱を下げられるだけでなく切りくずの工具への付着も防げます。
ステンレスの切削油には、エマルションタイプがおすすめです。また、基本的なことですが、使用時には加工面や刃先に当たるように切削油を噴射することにも気をつけましょう。
ねじ切り中にタップが折れる原因
ステンレスのねじ切り加工をしているとタップが折れてしまうときもあるでしょう。タップが折れる原因は、主に以下の通りです。
- タップが摩耗、もしくは欠けている
- 切りくずや粉が詰まった状態で作業している
- 下穴径が小さすぎる、もしくは浅すぎる
- 切削油が届いていない、もしくは性能が低い
- 加工硬化が発生している
摩耗している、あるいは欠けているタップを使用していると折れてしまう、加工不良を起こす原因にもなるのでご注意ください。
タップの摩耗を防ぐためにも、切りくずや粉の排出に気を配りましょう。
また、タップに負荷がかかりすぎれば、当然ですが折れる大きな要因となります。そのため、下穴径を小さくする、浅くするのは逆効果になるので避けましょう。
タップが折れた場合の対処方法
タップが折れた場合には、部材を傷付けないように取り除く必要があります。具体的には折れ口の位置やタップの大きさによって以下のように取り除きます。
- 折れ口が外に出ている場合はプライヤでくわえ回しながら抜いていく
- 折れ口が浅い場合にはポンチかたがねを溝に入れタップを緩めて抜いていく
- タップが大きければ溝に合うタップ抜き工具を制作し抜いていく
- 折れ口の位置、タップの大きさで抜けないときには材料を熱し緩めて抜いていく
タップを抜く際には、加工時に発生した切りくずや粉に注意が必要です。切りくずで加工したネジ穴を傷付けてしまうと加工不良になる恐れがあります。
このように、ステンレスのねじ切り加工は非常に難しく、金属の持つ特徴を理解し加工条件を設定しなければなりません。加工するのが難しい場合には、お気軽に以下からお問い合わせください。
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