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ハステロイの板金加工|加工方法と事例について
ハステロイ
2022.4.15
ハステロイ板は耐食性や耐熱性に優れた特徴を持ちます。そのため、活用される場はジェットエンジンや焼却炉等、過酷な状況下におかれる部品ばかりです。
しかし、優れた素材だからこそ加工が難しく、依頼を断る業者もいるほど。当記事ではハステロイ板の種類や特徴を紹介したのち、実際に弊社が担当した板金加工4つを写真付きで紹介します。
ハステロイ板の切断、曲げ、穴あけ、溶接はいずれも熟練の技術が必要です。加工でお悩みの際は、ぜひ弊社までお問い合わせ下さい。
ハステロイ板の種類と特徴
ハステロイはニッケルにクロムやモリブデンを添加した合金に分類され、高い耐久性と耐食性が特徴です。また、組成の内容により種類が異なり、細かく分類されます。
種類 | 特徴 |
ハステロイC | 最もメジャー。 還元性と酸化性どちらの腐食にも強い。 金属表面に起こる局部腐食に特化。 |
ハステロイB | 高温下での耐食性に特化している。 主にジェットエンジン等に活用される。 |
ハステロイX | 抗酸化性に特化している。 主に石油化学分野で活用される。 |
上記の他にも、ハステロイG・N・Wとあり、成分量の違いで細かに分類されています。ハステロイに関する特徴は以下をご覧ください。
≫ハステロイとは?|耐食性や耐熱性、組成・成分など特徴をひとまとめ
ハステロイの板金加工の種類と事例
▲複雑な形状の板金加工の事例
ここからはハステロイの板金加工について解説します。今回紹介する加工方法は下記の4つです。
- 切断加工
- 曲げ加工
- 穴あけ加工
- 溶接加工
いずれも素材の特徴を知り、作業することで高品質の部品加工が可能です。確認していきましょう。
ハステロイ板の切断加工
ハステロイは耐熱性に優れた反面、熱伝導率が低く切断部分が高温になる特徴を持ちます。切断部分が高温になると、切りくずが切断面にこびりついたり、工具が破損したりと品質低下を引き起こします。
そのためハステロイ板の切断加工は、適切な工具の見極めや熱をこもらせない加工技術が必要です。
ポイントさえおさえれば、耐熱性や耐食性を損なわず加工することが可能です。
ハステロイ板の曲げ加工
ハステロイは硬い素材であるため「曲がらないのでは」と懸念されますが、曲げ加工も可能です。
基本的にはプレス機に金型を取り付け、圧力を加えて変形させる方法で行います。しかし、ハステロイ板は非常に高価な材質のため、曲げる際には無駄のでないよう歩留まりの計算をより確実に行います。主な加工方法は下記3つです。
加工方法 | 特徴 |
型曲げ | 基本的な加工方法。金型を使った加工 |
押さえ巻き曲げ | 素材の縁を押さえながら曲げていく方法 |
送り曲げ | 素材を固定せず、流れるラインの中で曲げ加工を行う |
また、穴をあけた部分の近くを曲げ加工する場合、穴の変形を防ぐことも欠かせません。
ハステロイ板の穴あけ加工
▲ハステロイ板の穴あけ加工
穴あけ加工はどの機械部品にも欠かせません。しかし、ハステロイのような難削材の場合、穴をあけるだけでも一苦労です。
穴あけはボール盤と呼ばれる器具に素材を固定して、ドリルで穴をあけていきます。
穴あけのコツは適切な工具の選定です。
また、近年は機械そのものが小型化・軽量化しているため、穴あけ加工もより緻密な技術を必要とします。
ハステロイ板の溶接加工
▲ハステロイ板の溶接加工
ハステロイは溶かした際に粘りが強い特性を持つため、溶接には高い技術が求められます。
主な溶接方法は下記の3つです。いずれも溶接の際は、溶接部のゴミを取り去ったり、溶接温度を適切に維持することが大切です。
溶接方法 | 特徴 |
アーク溶接 | 素材同士を溶かして接合する基本的な方法 |
レーザー溶接 | レーザー光線を活用した溶接方法 |
抵抗溶接 | 接合したい素材を重ね合わせて、電極で挟み発生した電熱で溶接する方法 |
今回紹介した4つの板金加工は、いずれもハステロイの特性を把握した熟練の技術が必要です。しかし、株式会社新進では大阪・九条における職人ネットワークを活用し、高品質の板金加工を実現可能です。ぜひ一度ご相談ください。