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チタンの曲げ加工を行う際の3つのポイント
チタン
2022.5.7
航空分野、医療分野など、様々な分野での使用が進むチタン。強度の高さや軽量性をもつ新しい金属ですが、加工は難しいと言われています。
今回は、様々な工程の中でもチタンの曲げ加工について紹介します。曲げ加工はチタンのもつ強度の高さや、スプリングバックの大きさ、さらにr値の高さによる曲げ方のコツが必要です。
当記事では、曲げ加工を行う際に知っておきたいポイントについて、特性を踏まえながら紹介します。チタンの曲げ加工は、種類の見極め、ロール方向の確認、スプリングバックを意識する点が大切です。
チタンの曲げ加工を行う際の3つのポイント
チタンの曲げ加工は、素材の持つ特徴をおさえることが大切です。まず、チタンには下記の特徴があります。
- 強度が高い(鉄の約2倍)
- ヤング率が小さく、スプリングバックが大きい
- 塑性異方性(r値)がとても大きい
チタンは強度が高く、航空機やロケットなど、耐熱性が必要な部品に使われています。また、ヤング率が小さいため、しなりやすい・変形しやすい特徴も持っています。そのため、チタン板は少しであれば曲げても元に戻る強さがあります。
さらに、チタンは塑性ひずみを表すr値が高く、曲げる際にはコツが必要になります。
次からは、チタンの特徴を踏まえ、曲げ加工する際に知っておきたいポイントを紹介します。曲げ加工のポイントは以下の3つです。
純チタンかチタン合金か把握する
一口にチタンと言っても、様々な種類があります。純チタンかチタン合金か、それぞれ強度や延性が大きく異なるため、種類を確認しましょう。代表的なチタンの種類は下記一覧の通りです。
純チタン | チタン合金 |
JIS1種 JIS2種 JIS3種 JIS4種 |
α合金 α-β合金 β合金 Near α合金 耐食合金 |
たとえば、純チタンは常温で曲げ加工が可能です。しかし、チタン合金は温間・熱間で曲げ加工を行うなど、条件が細かく異なります。
そのため、加工する前にチタンの種類を必ず確認しておきましょう。
チタン板のロール方向を確認する
チタンは、塑性異方性(r値)がとても大きいという特徴があります。そのため、曲げる方向にも注意が必要です。
金属板の曲げ方には、ロール方向と垂直に曲げるL曲げと、平行に曲げるT曲げがあります。r値が高いチタンはT曲げがおすすめです。
金属には、板厚方向または板幅方向のどちらかに変形しやすい性質があります。そのため、曲げ加工の際には変形しやすい方向を確認し、曲げ方を決定します。
また、r値は曲げ半径にも大きく関係しており、一般的にチタンは限界曲げ半径が大きくなります。そのため、曲げの半径Rは大きく取るよう意識しましょう。
スプリングバックを意識する
チタンはヤング率が低いため、しなりやすい特徴があります。そのため、加工後に曲げ角度が跳ね返ってくる現象の、スプリングバックがどの金属よりも大きくなります。
チタンの曲げ加工は、下記のポイントを守るとスムーズに行えます。
- スプリングバックを考慮して所定の形状よりも深く曲げる
- スプリングバックが小さいJIS1種チタン板を使用する
以上の点を意識して曲げ加工を行えば、良好な状態でチタンを曲げることができます。
しかし、硬度の高いチタンを使用する場合は、スプリングバックの問題により温間成形などの対処が必要となります。特定の温度域では、曲げ加工に対する劣化が大きくなることもあるので、扱いには十分気をつけましょう。
とは言え、経験がなければうまくいかないケースも多々あります。新進は、チタン加工の実績が豊富な町工場と提携してしておりますので、お困りの際はお気軽にお問い合せください。
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