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曲げ加工とは|金属を曲げる原理から行う場合の4つの注意点を解説

曲げ加工

2022.12.16

曲げ加工とは、金属に圧力を加えて行う加工方法で、プレス機と金型を使用するのが一般的です。

金型の形状や圧力の加え方によって様々な形に加工できるので、色々な製品や部品を作るのに使用されています。

 

しかし、図面に正確な曲げ加工を行うには、金属の持つ特徴を理解しなければなりません。金属は元に戻ろうとする性質「スプリングバック」が働くので、考慮しなければ製品にズレが生じてしまうのです。

 

また、スプリングバック以外にもブランク図の作成や穴あけ位置と曲げ位置の距離を開けるなど、いくつか注意しなければならない点もあります。

本記事では、曲げ加工の原理や種類、作業時に注意しなければならないことをわかりやすく解説していきます。

 

 

曲げ加工とは?その原理について

 

曲げ加工とは、名前の通り金属に圧力を加え図面通りの角度や形状に曲げる加工です。方法自体は単純ですが、図面通りに仕上げ、質の高い加工を行うには部材となる金属への知識と高い技術が求められます。

 

曲げ加工にはいくつか種類がありますが、プレス機と金型を用いて圧力を加える加工が一般的です。金型の形や圧力の加え方を変えれば様々な形に曲げられます。

 

 

曲げ加工で作られる製品

 

曲げ加工で作られた製品例を紹介します。本記事で紹介する製品は、株式会社新進が提携している職人によって加工されたものです。

 

曲げ加工の製品事例

▲金属パイプの曲げ加工事例

 

曲げ加工の製品事例

▲曲げ加工のほか、穴あけなどの作業を組み合わせ複雑な形状に仕上げた事例

 

 

曲げ加工の種類

 

曲げ加工は仕上げる形状や使用する機械によって種類が分かれています。代表的なものは、以下の通りです。

 

加工の種類 概要
V曲げ V溝加工された金型を部材の下に置き、上から尖った金型をプレスして加工する
L曲げ 部材となる板材を押さえながらパンチを当ててL字型に加工する
U曲げ 両側からのパンチ加工と逆押さえ加工によりU字型に加工する
Z曲げ L曲げを2回繰り返すなどの方法で、Z字型に加工する
O曲げ 複数の曲げ工程によって金属の板材を円筒状に加工する
R曲げ 金型の上側に丸型を用いて板材をアール上に加工する
ヘミング曲げ 板材のふちを180度折り返す加工方法
押さえ巻き曲げ 材料の縁を抑えつつ、L字型に加工する方法
フランジ成形 曲げた部分を湾曲させ、フランジを形成する加工方法
カーリング加工 曲げた金属の板材の縁を小さく丸める加工
ロール曲げ 金属の板材に回転ロールを押し当ててロール状に曲げる加工方法

 

曲げ加工は、使用する金属の種類や大きさ、板材の厚みなどによって行える加工の種類や難易度は変わります。

図面を設計する段階でどの曲げ加工なら行えそうか、使用する部材に曲げ加工は向いているかなどの検討が重要です。

 

 

スプリングバックについて

 

金属には圧力を加えた後に元の形に戻ろうとする性質があり、この性質はスプリングバックと呼ばれます。図面に正確な角度や形状に曲げるには、スプリングバックを考慮して作業しなければなりません。

具体的には、スプリングバックが起きることを想定して、仕上げる形状よりも深い角度まで曲げておくなどの対策が必要です。

 

 

曲げ加工を行う場合の4つの注意点

 

曲げ加工を行う際には、金属の持つ特徴を理解して作業する必要があります。具体的には、以下の4つに注意して作業を行いましょう。

 

  • スプリングバックを考慮する
  • 曲げ加工を意識した展開長にする
  • 穴と曲げ部の距離に気をつける
  • 最小曲げ半径を意識する

 

 

スプリングバックを考慮する

 

曲げ加工ではスプリングバックへの対応がとても重要です。具体的には、以下の対策をしておくのが良いでしょう。

 

  • スプリングバックが起きる前提で曲げ角度を調整する
  • 圧力の加え方や加重・方向を変更してスプリングバック自体を減少させる

 

スプリングバックは金属ごとに異なり、引張強度が高ければ高いほど起きやすくなります。

また、同じ金属でも薄い板材を部材にした場合や、深く曲げようとした場合にはスプリングバックが大きくなります。そのため、加工時には金属の種類、仕上げる形状によってスプリングバックのシミュレーションが必要です。

 

 

曲げ加工を意識した展開長にする

 

製品図は加工した後の完成品が記載されています。そのため、加工を行う前には、ブランク図の作成が必要です。

 

ブランク図とは?

金属製品を製作する前の展開図面のこと

 

ブランク図を作成するときには、曲げ加工を行って寸法が変化する部分としない部分を分けて展開図の計算をしなければなりません。曲げる部分が多くなればなるほど計算は複雑になります。

 

また、加工時にはどうしても誤差が発生します。複数の箇所で曲げ加工を行う場合は、この誤差を考慮して補正しなければなりません。

補正については使用する金属の種類や加工形状、加工時に使用する金型の構造によっても変わるため、算出することが難しいです。

そのため、製品図やブランク図を作成する際には、加工や金属に関する知識も必要になります。

 

 

穴と曲げ部の距離に気をつける

 

曲げ加工と穴あけ加工を併用するときには、加工箇所の距離に注意をしなければなりません。

金属を曲げた部分の内側は圧縮されて縮むのに対し、外側は引っ張られて延びる現象が発生します。曲げ位置と穴あけ位置が近いと穴が曲げ加工の影響を受けてしまい、歪んでしまう可能性があるのです。

 

そのため、曲げ加工と穴あけ加工の両方をひとつの製品や部品で行う場合には、以下の対策が必要です。

 

  • 曲げ加工の影響を受けない部分で穴あけ加工する
  • 変形を予防したい穴と曲げ部分の間に逃げ穴を作成する

 

穴あけ箇所が曲げ加工の影響を受けるかどうか確かめるには、シミュレーションをしてみるのも有効です。

穴あけ部分にも公差がある場合には、影響を確実に受けないようにするため、図面設計時に曲げ部分と穴あけ部分の距離をあけておきましょう。

 

 

最小曲げ半径を意識する

 

曲げ加工を行うと、金属の内側は圧力がかかり縮むのに対し、外側は引っ張られ延びます。角度をきつくするほど加工部分の外側の引っ張られる力が強まって、その結果、曲げ割れが生じるのです。

 

金属によって最小曲げ半径は異なり、伸びの大きい金属ほど最小の曲げ半径は小さくなります。

部材の状態や圧力の加え方によっても最小曲げ半径は変わってくるので、深い角度に金属を曲げたい場合には、以下も考慮しましょう。

 

  • 圧延方向に垂直に曲げる
  • せん断時にできたバリを曲げ加工の内側にする

 

曲げ加工は、金属ごとの特性を知り、設計段階から注意して行わなければなりません。

株式会社新進は、金属加工のコーディネートを日々行なっておりますので、お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

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