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チタンの加工が難しい4つの理由|具体的なポイントを加工ごとに解説
チタン
2022.4.22
チタンの加工はとても難しいとされています。それは、硬度が高い、ヤング率が低いなどのチタンの特性が大きく関係しているためで、これらの性質をしっかりと理解しておかなければいけません。
この記事では、チタンの加工が難しい理由を4つ解説します。また、加工方法ごとにポイントを紹介しますので、チタン製品を作る際の参考に活用してください。
チタンの加工が難しい4つの理由
チタンの加工は、以下4つの性質を考慮しなければいけません。順に解説します。
- 強度が高く工具が痛みやすい
- 熱伝導率が低く熱がこもりやすい
- ヤング率が小さくたわみやすい
- 化学的に活性で反応しやすい
強度が高く工具が痛みやすい
チタンは合金化するととても強度が高くなる金属です。例えば、ステンレスの比強度は75程度ですが、チタン合金だと220を超えます。
そのため、切削すると工具の摩耗が速くなり、工具が欠けたり製品の精度が落ちる可能性が高いです。
熱伝導率が低く熱がこもりやすい
熱伝導率とは、金属の熱の伝わりやすさです。チタンは熱が伝わりにくいため、加工中に熱がこもり、工具に影響を及ぼします。
工具先端の温度が高まると、摩擦抵抗が大きくなります。その結果、劣化して製品の質が落ちてしまうのです。
ヤング率が小さくたわみやすい
ヤング率は、金属の硬さや変形しやすさを表すものです。チタンはヤング率が小さいので、切削加工する際にたわみやすくなります。
そのため、たわみと元に戻る動きが連続して振動となり、表面が「びびりマーク」と呼ばれるうろこ状の痕になりやすいです。
化学的に活性で反応しやすい
チタンは酸素や他の金属と反応しやすいです。例えば、溶接をすると酸化しやすくなり、非常に硬くなって脆くなります。
また、削りかすが酸素に触れると、化学反応を起こして火災が起こるケースもあり、取り扱いにはとても注意しなくてはいけません。
チタン5つの加工方法とポイント
チタンを加工する上で行われる主な方法は次の5つです。
- 切削加工
- 切断加工
- 曲げ加工
- 穴あけ加工
- 溶接
これらそれぞれに、チタンの特性が影響して加工を難しくしています。具体的な理由を方法ごとに紹介します。
切削加工
金属の表面を削り、外径を整える作業が切削です。チタンの強度と熱伝導率が影響し、削る際に工具に負担がかかります。また、たわみによってびびりが起こるので、切削は非常に難しいです。
対策としては、切削の速度を遅くして、できるだけ熱が高まらないようにすること。切削油を使い、抵抗を少なくするのも有効な方法です。
詳しくは次の記事にまとめましたので、そちらをご覧ください。
≫チタンの切削加工について|旋盤・フライス加工を行う際のポイント
切断加工
ディスクグラインダーやハンドソーを使えば、個人でも金属の切断はできます。しかし、チタンは強度が高いため、工具の摩耗は早まり、切断面が痛みやすいです。
また、化学反応しやすいため、カット中の火花が原因で火災が起きる可能性も。そのため、レーザー加工のように、金属に接触せずに切断できる方法が適しています。
曲げ加工
ヤング率が小さいためしなりやすく、スプリングバックと呼ばれる現象が生じやすいです。スプリングバックとは、曲げても元に戻ってしまう性質。これを考慮して、予定より深く曲げることが大切です。
合わせて、チタンは塑性異方性が大きい特徴もあります。これは、方向によって曲げやすさが異なる、という性質なので、変形しやすい向きを意識して加工し始めることがポイントです。
穴あけ加工
穴を開ける作業は、切削と同じく金属を削って行います。そのため、強度や熱伝導率の影響が大きく、チタンは穴あけがとても難しいです。
ドリルを使う場合は、できるだけ回転は遅くして熱が上がらないようにします。速いと振動でびびりが起きるので、その点も考慮することが大切です。
≫チタンの穴あけ加工が難しい理由|ドリルで穴開けする際の3つのポイント
溶接
チタンは溶け始める温度がとても高い金属です(約1,700℃)。ですが、そこまで温度を上げると、周りの酸素と反応し始めて非常に硬くなります。その結果、脆くなって質が下がってしまうのです。
そのため、溶接中は大気に触れさせないことがポイント。ティグ溶接のシールドガスで、酸素を遮断すると防げます。
≫チタンの溶接方法|難しいとされる理由と大阪・九条工場の施工事例
チタン加工の製品事例
株式会社新進は、大阪・九条町の300人以上の職人と提携し、金属加工のコーディネートをしています。チタンの加工も行っていますので、製品の事例を一部紹介します。
▲旋盤や穴あけ加工など複数の工程も可能
▲スクリュー管の加工事例
▲細かな要望に合わせた旋盤加工も可能
以上です。新進では、小ロットや個人でもご相談をお受け付けしています。チタンの加工でお困りであれば、以下のページよりお気軽にお問い合わせください。
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