営業時間(9:00-18:00 )
COLUMN
読み物
レーザー溶接とは?|特徴や仕組み、用途や種類まで徹底解説
レーザー加工
2023.7.18
レーザー溶接は、光をレンズで集めて部分的に照射して接合する方法です。他の溶接方法と比べて、狭い範囲に熱を加えるので、歪みが少なくとても速く加工ができます。
ただし、気泡が発生しやすい、隙間があると不安定になるといった特徴も見られます。この記事では、レーザー溶接の特徴やメリット・デメリット、主な用途を解説しました。
レーザー溶接の特徴
レーザー溶接は、集光レンズによりエネルギーを絞り込み、照射することで部分的に融解して接合する方法です。以下のように様々な継手に対応できます。
- 突合せ溶接
- 重ね溶接
- T継手
- フレア溶接
- 円周溶接
レーザー溶接は、他の溶接法と比べて自動化やライン化が簡単です。その上、高い精度で速く溶接ができます。
そのため、自動車や航空機、電子・電気機器など、広い範囲で使用されています。
レーザー溶接の仕組み
レーザー溶接は、金属の表面に凝縮した光を照射して、加熱されることで融解し、凝固させて接合する仕組みです。
レーザー光を溶接したい方向に進めると、溶けた金属がキーホールの周りを流れ、後部の凹みで凝固することで連続した溶接部ができるのです。
溶接欠陥を引き起こすプラズマ
レーザー溶接では、接合している最中にプラズマが発生することがあります。このプラズマは、レーザーの屈折や吸収を引き起こし、エネルギーの密度が下がるため、欠陥を引き起こす原因になります。
この2つは、電離電圧の低い金属です。また、気体の中でも、電離電圧の低い窒素などではプラズマが発生します。
この現象を抑えるには、ヘリウムなどのガスを吹きつける、という手段が一般的です。
レーザー溶接のメリット・デメリット
レーザー溶接には、他の方法と異なる特徴が多いです。その特徴を、メリット・デメリットに分けてそれぞれ解説します。
メリット
レーザー溶接のメリットは次の4つが挙げられます。
- 熱ひずみが少ない
- 微細な溶接ができる
- 溶接の速度が速い
- 異種材料の溶接が簡単
レーザー光を使うため、局所的に溶接ができます。周囲への影響が少ないので歪みが起きにくく、細かい溶接ができるのが最大の特徴です。
また、アーク溶接よりも断然速く接合が可能で、これも熱歪みを少なくする要因となります。
さらに、レーザーで金属を一気に溶かして溶着するため、融点の違う金属でも溶け込みが浅くなりません。そのため、異種金属の溶接に適しています。
デメリット
レーザー溶接のデメリットは次の3つです。
- 隙間があると溶接ができない
- 割れやポロシティが発生しやすい
- 重大な事故に繋がりやすい
レーザー光を照射して融解するので、光が逃げると精度が保てません。そのため、隙間のある箇所に使用すると、その部分の溶接は不安定になるので注意が必要です。
気泡が多いと強度が下がってしまうため、レーザーのパワーを適切に調整しなくてはいけません。
レーザーは、反射した光で火傷する可能性もあり、強い光で目の網膜を痛める恐れも。安全対策をきっちりしないと、大きな事故にもなりかねません。
レーザー溶接の種類
レーザーを使用する溶接機には、構造の違いによって種類があります。よく使用されているものは次の通りです。
YAGレーザーとCO2レーザーは、古くから使用されており一般的な2つです。それぞれYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)とCO2(二酸化炭素)を媒体にレーザーを作ります。
ファイバーレーザーは、とても速い速度で溶接ができ、ランニングコストも安いため、最近は最も広く使われている装置です。ディスクレーザーは、YAGなどの固体レーザーの精度を高めたもので、ファイバーレーザーと同様に広く普及しています。
レーザー溶接の主な用途
アーク溶接やガス溶接は、基本的には人が手を動かして作業をします。一方でレーザー溶接は、ラインに組み込んで自動生産化が可能です。
そのため、以下のような大量生産する製品に向いています。
- 自動車のフレームやボディ
- 航空機のフレームやエンジン
- リチウムイオン電池ケース
レーザー溶接は高品質な製品を作れるものの、導入する際のコストがとても高いです。そのため、多くの製品を作れる業界で活躍するケースが一般的になっています。
以上、レーザー溶接について解説しました。
株式会社新進では、レーザー溶接機などを使用して、金属加工のコーディネートをしています。以下のページよりお気軽にお問い合わせください。