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ステンレスの種類|成分や特徴、用途や違いをひとまとめ
ステンレス
2024.9.17
ステンレスは鉄を主成分に、炭素やクロム、マンガンや硫黄など様々な金属を添加しています。その金属の種類や量により、硬度や耐食性が異なるため、それに伴ってステンレスも細かく分類されています。
この記事では、ステンレスの種類を紹介し、それぞれの成分の違いや特徴をまとめました。加えて、ステンレスの見分け方も紹介しましたので、種類の概要を抑えるためにご覧ください。
ステンレスの種類と違い
ステンレスは鉄を主成分として、炭素が1.2%以下、クロムが10.5%以上と国際統一されています。しかし、同じステンレスでも炭素・クロムの量は大きく異なっており、それ以外にもニッケルやマンガンなどの金属も含まれているため、分類すると種類はかなり豊富です。
大まかな分類としては、クロムだけを含むか、もしくはニッケルも含まれるかで分けられます。その上で、他に含まれる金属によって結晶構造が異なっており、それぞれ以下のように名称が付けられています。
分類 | 結晶構造 |
Cr系 | マルテンサイト系 |
フェライト系 | |
Ni-Cr系 | オーステナイト系 |
二相系 | |
析出硬化系 |
さらに、この中でも金属の含有量などによって細かく種類と名称が分かれています。それぞれの詳細をJIS規格と共に紹介しましょう。
マルテンサイト系
クロム系ステンレスの一種で、焼入れ・焼き戻しによって硬く耐摩耗性にも優れる材料に変えられる特徴があります。
炭素量を少し多く含有しているので硬いですが、焼きなましの状態であれば切削抵抗もそこまで大きくはないので加工もしやすい部類です。
代表的なマルテンサイト系の種類(JIS記号)と各成分は次の通りです。
詳しくは次の記事にまとめていますので、以下をご覧ください。
≫マルテンサイト系ステンレスとは?|種類や耐食性、磁性について解説
用途
マルテンサイト系は耐食性・耐熱性に優れており、ポンプやシャフトなど機械や構造用の部品として使用されています。
炭素量の多いSUS440系は硬度も高いので、ベアリングや刃物などに採用されています。
フェライト系
クロム系ステンレスの一種で、マルテンサイトよりも耐食性と成形性が高いです。焼入れによって硬化することはなく、比較的柔らかい結晶構造をしています。
代表的なフェライト系の種類(JIS記号)と各成分は次の通りです。
用途
フェライト系は溶接性も高いので自動車や家電機器などによく使用されています。
また、耐食性に優れているので、化学プラントでも使われていますが、後に紹介するオーステナイト系ほどは耐食性が高くありません。そのため、比較的腐食環境は厳しくない場所で使用されています。
オーステナイト系
ニッケル・クロム系ステンレスの一種で、生産量が1番多く、組織の結束力が強いため粘くて強い性質があります。
延性と靭性に優れており、曲げ加工もしやすいですが、切削抵抗は大きいので切削加工には不向きです。
代表的なオーステナイト系の種類(JIS記号)と各成分は次の通りです。
詳しくは次の記事にまとめていますので、以下をご覧ください。
≫オーステナイト系ステンレスとは?|種類や磁性、加工硬化について解説
用途
オーステナイト系は加工がしやすく溶接施工性も高いので、多くの場面で使用されています。建築・自動車・食品・原子力など、最も用途の多いステンレスです。
二相系
二相系は、オーステナイトとフェライトの中間に位置するステンレスです。強度が高く、耐食性にも優れる特徴があり、ステンレスの中では比較的新しい種類になります。
フェライト系ステンレスにニッケルを添加しており、強度はオーステナイト系よりも高いです。
二相系の種類(JIS記号)と各成分は次の通りです。
用途
二相系ステンレスは耐海水性や腐食割れに優れており、強度も高いので石油精製、下水道設備、海水淡水化プラントなど、幅広い用途で使われています。
析出硬化系
析出硬化系は、銅やニオブなどの元素で析出物を作って硬化させたステンレスです。高硬度のオーステナイトステンレスは使える条件が限定されていたため、より広範囲で使用できるステンレスとして開発されました。
析出硬化系の種類(JIS記号)と各成分は次の通りです。
用途
析出硬化系ステンレスはもっとも粘り強さがあり高度が高いため、航空機やロケット、ジェットエンジンなどに使用されています。
ステンレス各種類の見分け方
▲ステンレスの加工製品
各ステンレスには硬度などの違いがありますが、それらを目視のみで見分ける方法はありません。見分け方としては、切削した際の切りくずの状態で判断する方法があります。
- 切りくずがつながる:粘り気が多い
- 切りくずがバラバラ:粘り気がない
粘り気がないのはリンや硫黄が多く添加されているためです。しかし、リンと硫黄が多いステンレスはSUS303くらいで、それ以外はさほど大きな違いはありません。
種類ごとの磁性
もうひとつの見分け方は磁石をくっつける方法です。ステンレスは鉄を主成分にしているので磁性がありますが、磁石がくっつかない種類もあります。
オーステナイト系にはニッケルが添加されています。ニッケルは磁性があり、鉄の磁気の方向を邪魔してしまうためにオーステナイトは磁力を失うわけです。
ただし、オーステナイト系でも条件によっては磁性を帯びることもあります。そのため、磁石で必ず判断できるわけではありません。
以上です。株式会社新進では、ステンレスを始めたとした金属加工のコーディネートをしています。
金属加工でお困りの際は、以下ページよりお問い合わせください。