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鉄の切断で使用する工具の種類|カットする場合の4つの注意点
鉄
2023.5.23
鉄は含まれる炭素の量によって硬くなる性質があります。硬さ次第で切断する難しさも異なるため、鉄の種類を確認してから作業に臨むことが大切です。
切断に使用する工具は、ハンドソーやニブラなど様々なものがあります。それぞれに特徴と用途が違うので、目的に応じて使い分けることも必要です。
また、これらの工具はとても鋭利で、機械であれば高速に回転しています。そのため、使用方法を間違えば、重大な事故になる可能性もあるため、安全対策はきちんとして作業を行いましょう。
本記事では、鉄の切断に使用する工具の種類や、作業上の注意点を解説しました。
鉄は種類によって切断の難しさが違う
鉄は炭素量によって硬さが全然違います。例えば、硬さを表す指標として「ブリネル硬さ」がありますが、鉄の種類で以下のように異なっています。
種類 | 炭素量 | ブリネル(HB) |
低炭素鋼 | 〜0.25% | 100〜130 |
中炭素鋼 | 0.25〜0.6% | 150〜180 |
高炭素鋼 | 0.6%〜 | 180〜 |
含まれる炭素が増えるほど、ブリネル硬さはどんどん高くなります。硬いということは、それに合わせた工具が必要になるので、まずはこれから切断する鉄の種類を把握することが重要なのです。
鉄とステンレスは見分けるのが難しい
主成分に鉄を使用しているのがステンレスです。そのため、見た目も鉄と一緒に見えるので、切断する金属が実はステンレスだった、というケースもよくあります。
ステンレスはブリネル硬さの数値が高く、熱伝導率も低いため、切断がとても難しい金属です。材料を確認してステンレスだった場合は、次の記事でポイントをまとめていますのでご覧ください。
≫ステンレスの切断加工|個人で行う場合の3つのポイントと注意点
鉄の切断するために使用する工具と使い方
▲切断加工でよく使用されるディスクグラインダー
仕上げる形状や板材の厚み、鉄の種類によって切断に適した工具は異なります。使用しやすい工具を使い方や特徴と共に紹介します。
ハンドソー(ハックソー)
ハンドソーとは手動ノコギリであり、電源がなくても利用できる工具です。
カットしたい鉄が分厚いのであれば、長い刃で引きかき刃型のものを選びましょう。
使用頻度が高いもしくは他の部材も切断したいのであれば、刃の交換可能なタイプを選ぶのがおすすめです。
ディスクグラインダー
ディスクグラインダーとは、円筒形の本体の先端にディスク状の砥石を付けた工具です。
ディスクグラインダーは研磨や切断など様々な用途があるので、使用目的に合ったものを選びましょう。
また、電源タイプは充電式とAC電源式に分けられるので、電源を用意できない場所で作業するのであれば充電式を用意する必要があります。
レシプロソー(セーバーソー)
レシプロソーとは電動ノコギリのひとつであり、刃の種類を替えれば様々な種類の金属を切断できる点がメリットです。
部材の厚みや大きさに合わせて、替刃や使用するレシプロソーを選びましょう。また、切断能力が必要な際には充電式でなく、AC電源式の工具がおすすめです。
ジグソー
ジグソーとは、刃を上下に動かし金属などの素材を切断する工具です。
ジグソーは丸のこと比較して安全性が高く、切りクズの発生や振動が少ないのが特徴です。
複雑な形状にカットしたいときには、取り回しやすい充電式を選びましょう。
高速切断機
高速切断機とは、切断砥石を用いて高速で切断を行う工具です。砥石を使用して材料カットする点はディスクグラインダーと共通していますが、高速切断機の方が効率よく作業できます。
切断したい部材の大きさに合わせて、砥石を選ぶのが大切です。また、高速切断機は設置して使用する工具なので、ほとんどがAC電源式となっています。
チップソー切断機
チップソー切断機とは、円盤状の刃であるチップソーで材料を切断する工具です。
チップソー切断機では、素材に合う替刃を使用する必要があります。他の工具と比べ刃の消耗が激しいので、使用頻度が高い場合には替刃のコストも意識して工具を選びましょう。
ニブラ
ニブラとはパンチングで鉄を切断する仕組みの工具です。紙に使用するパンチのように穴を開け、その穴を連続させることで切断します。
ニブラによって開けられる穴の大きさや種類、使用できる部材の厚みは異なります。使用する材料に合ったものを選びましょう。
また、ニブラの動力には電動だけでなく、手動や圧縮空気など様々な種類があります。使用シーンに合ったものを選ぶのがおすすめです。
板金金切ハサミ
板金金切ハサミとは、薄い板を切るときや細かい加工を行うのに適した工具です。
板金金切ハサミは、紙に使用するハサミのように繰り返し刃を動かし加工します。そのため、刃が長ければ長いほど一度に切れる量が増えるので効率よく作業可能です。
ただし、大きい工具は手が小さい人には扱いにくいのでご注意ください。
鉄の切断を行う場合の注意点
鉄の切断は、工具を使用すれば誰でも比較的簡単に行えます。
しかし、使用方法を間違えれば重大な事故につながりケガをする恐れがあるので、取扱いには注意が必要です。鉄の切断加工を行う際の注意点を紹介します。
切断加工に適した服装をする
作業を行う際には、事故を防ぐために以下に注意して作業服を選びましょう。
- 自分の身体にあったサイズを選ぶ
- 袖や裾が長すぎない
- 綿100%などの耐火性に優れる
- ボタン付きのポケットがある
- 清潔でほつれがない
- ベルトなど装飾がない
作業時には、機械に服を巻き込まないように注意が必要です。サイズが大きい作業服や袖や裾が長すぎると、巻き込みが発生する恐れがあります。
また、機械を使用していると高温の火花が飛び散るときもあるので、燃えにくい素材の作業服を選ぶことも大切です。
軍手はできるだけ使用しない
ディスクグラインダーなどの工具を使用するときには、軍手の使用は避けましょう。作業服同様に軍手も切断工具や機械を使用しているときに、巻き込みが発生する恐れがあるからです。
軍手が工具に巻き込まれてしまうと、一緒に指も切断される恐れがあります。
素手で作業をしたくない場合、軍手ではなく下記のような繊維の巻き込まれリスクが低い専用の手袋を使用しましょう。
- 革製
- 耐久性が高い
- 滑りにくい
「素手で作業をするのは不安だ」と思う人もいますが、素手で工具を使用してケガをした場合、咄嗟に工具から手を離しやすいです。
そのため、素手での作業で重大事故の発生は少なく、切り傷程度で終わるケースも多いです。
工具の使用方法を守る
加工を行う際には工具の使用方法を守りましょう。使用方法は、安全に作業を行うために必要な内容がまとめられているからです。
例えば、ディスクグラインダーの使用方法は下記の通りです。
- 安全カバーは必ず取り付ける
- 巻き込み防止のため長い髪はまとめる
- 安全な服装で作業を行う
- 作業用手袋を着用する
- 安全メガネや防塵マスクを使用する
- 作業場の環境を整える
- 火花の発生方向を上向きにしない
- 材料を固定させ使用する
これらの使用方法は、ディスクグラインダーへの巻き込みや火花による発火を防ぐためのものです。
ひとつとして疎かにして良いものはないので、新しい工具を利用する際には使用方法を繰り返し確認しましょう。
また、ディスクグラインダーは刃の回転方向に向かって、火花が飛び散ります。ディスクが下向きに回転する方向で刃を当てることで、火花が上方向に飛びにくいです。
安全な場所で作業する
切断加工を行う際は、作業環境も非常に重要です。ディスクグラインダーなどを使用すると火花が飛び散るので、周りに燃えやすいものは置かないようにご注意ください。
塗料やスプレー缶などに火花が飛び、引火する事故も過去に起きています。具体的には、下記のように作業環境を整えましょう。
- 広い場所で作業をする
- 火気厳禁のものを作業場に置かない
火花は想像より遠くに飛ぶこともあり、狭い場所で作業していると壁や設置物に火花が当たり跳ね返る恐れもあります。
このように、鉄の切断加工を行う際には注意しなければならない点が多いです。
安全な環境が整えられない、あるいは工具の使用に不安がある場合は弊社へご相談ください。小ロットや製品1つでもご依頼は可能です。