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ステンレスの曲げ加工|方法と事例について
ステンレス
2022.3.30
ステンレスは、切断や切削、曲げ加工などを行うことによって、住宅用設備や機械設備など日常生活に関する様々なシーンで使用されています。ステンレスの曲げ加工とは、ステンレス板を曲げて特定の形に変化させる加工です。曲げ加工はプレス機械を使用するのが一般的で、使用する金型やプレスの方向によって様々な形に加工できます。
ステンレスは錆びにくい、硬いなど優れた特徴を持つ一方で加工が難しい金属としても知られています。
加工の中でも曲げ加工は、特に高い技術が必要で難しい加工です。ステンレスは加工による圧力を加えた後、元の形に戻ってしまうスプリングバックが大きい金属だからです。そのため曲げ加工を行う際には、スプリングバックを計算して加工をする必要があります。
本記事では、ステンレスの曲げ加工が難しい理由や曲げ加工の方法について解説していきます。株式会社新進で行っているステンレス板の曲げ加工の事例もあわせて紹介していきます。
ステンレスの曲げ加工について
ステンレスの曲げ加工は個人で行うのは非常に難しく、あまり現実的ではありません。
しかし、加工が難しい一方でステンレスの形を変化させ、希望の形に加工するためには曲げ加工は必要不可欠です。
曲げ加工を行いたいのであれば、知識やスキルを持つ専門の金属加工工場に依頼するのが確実でおすすめです。
ステンレスの曲げ加工が難しい理由を3つ確認していきましょう。
ステンレス材それぞれで特性が違う
家庭用食器や住宅設備、機械製品の材料などとして使用されているステンレスですが、細かく種類が分かれています。分類方法は化学成分による分類と、金属組織による分類に分かれています。
どちらの分類方法でも、ステンレスの種類によって曲げに対する強さなどの特徴や用途が異なるので、種類に合った方法で加工を行うのが重要です。
個人でステンレスの曲げ加工を行おうとしても、種類ごとの特徴を十分に把握できていないこともあります。
それにより、以下の2つが問題になります。
- 用途に合った材料を選べない
- ステンレスの種類に合った曲げ加工を行えない
用途に合ったステンレス材を選び、曲げ加工を行いたいのであれば専門知識を有した金属加工工場に相談、依頼するのが確実です。
ステンレス板が割れる可能性が高い
曲げ加工を行った際に、ステンレス板が割れてしまう場合があります。
ステンレスは熱伝導率が悪く、加工時に工具やステンレス板に熱がこもりやすい特徴があります。加工時によって高温になった後、急速にステンレスが冷えると割れの原因につながるので注意が必要です。
加工に不慣れな方が個人で設計と曲げ加工をしようとすると、加工が難しい形に設計してしまう場合や熱伝導率を考慮しない加工をしてしまうケースも多いです。
ステンレスの特徴を熟知した金属加工工場であれば、加工しやすい設計のアドバイス等も可能です。
スプリングバックが大きい
ステンレスはスプリングバックが大きい金属素材のひとつです。
ステンレスは硬いだけでなくスプリングバックも大きいので、加工時にはどれくらい加工前の状態に戻ってしまうのかも考慮して加工をしなければなりません。
ステンレスは、一般的な炭素鋼と比較して加工時に1.5倍の圧力を加えなければならないケースもあるほどです。
精密機器や複雑な形にステンレスを加工したい場合、スプリングバックの計算は特に重要です。
更にスプリングバックはステンレスの種類によっても、数値が異なります。一般的にオーステナイト系(SUS304やSUS316など)は、フェライト系(SUS430など)と比較して加工硬化が大きくスプリングバック量も大きいです。
このようにステンレスの曲げ加工を行う際には、材料の種類に合わせてスプリングバックを考慮して加工する必要があります。
ステンレスの曲げ加工の方法
ステンレスについて熟知した金属加工工場であれば、曲げ加工によってステンレスを様々な形に加工できます。
曲げ加工では、主にプレス機械による曲げ加工が一般的です。
プレス機械による曲げ加工では、材料となるステンレスの上下に金型をはさみ、プレスすることで希望の形に曲げます。金型の形やプレスの仕方によって様々な形に変えることが可能です。
ステンレスの曲げ加工の方法や種類を紹介していきます。
- V曲げ
V溝加工された金型をステンレスの下に置き上から尖った金型をプレスして加工する
- L曲げ
板材を押さえながらパンチを当ててL字型に加工する
- U曲げ
両側からのパンチ加工と逆押さえ加工によりU字型に加工する
- Z曲げ
L曲げを2回繰り返すなどしてZ字型に加工する
- O曲げ
複数の曲げ工程によってステンレス板を円筒状に加工する
- R曲げ
金型の上側に丸型を用い、ステンレス板をアール上に加工する
- ヘミング曲げ
板材のふちを180度折り返す加工
- 押さえ巻き曲げ
材料の縁を押さえながらL曲げを行う加工
- フランジ成形
曲げ加工を行った部分を湾曲させフランジを作る加工
- バーリング加工
ステンレス板に縁付きの穴を作る加工
- カーリング加工
曲げたステンレス板の縁を小さく丸める加工
- ロール曲げ
ステンレス板に回転ロールを押し当ててロール状に曲げる加工
使用するステンレスの種類にもよりますが、このように様々な形にステンレスを加工できます。とはいえ、加工の方法やステンレス材によって加工の難しさやスプリングバックの大きさは変わります。
ステンレスの曲げ加工事例
株式会社新進では、ステンレスの金属加工を行っています。複雑な形への加工や扱いが難しいステンレス材でも対応可能ですので、ステンレスの曲げ加工を行いたい方はお気軽にお問い合わせください。
株式会社新進で行ったステンレスの曲げ加工の実例をいくつか紹介していきます。
▲ヘミング加工(あざ折り)
▲複雑な形状の曲げ加工も可能
▲小さな部品や薄いステンレスの曲げ加工も対応可能
▲非常に薄く複雑な形状の曲げ加工も対応可能です
▲複数の工程が必要な加工も対応できます(主な加工:穴あけ、フランジ成形)
このように、株式会社新進では様々なステンレスの加工を行っています。
形が難しい、材料の扱いが難しいなどの理由で他社で断られた、もしくは個人で曲げ加工を行おうとしたけれど失敗した事例でも対応できる場合があります。ステンレスの曲げ加工を検討中の方は、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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