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アーク溶接6つの危険予知|具体的な5つの安全対策を紹介

溶接

2024.7.18

アーク溶接は、高温の電流やガスを使用して行います。そのため、毎年様々な事故が発生しており、その中には作業者が死亡したケースもあるのです。

 

このような危険な作業を行う場合、「漠然と注意する」程度の対策ではいけません。どんな危険が潜んでいるのかを把握し、それらに対してどう対策すべきかをひとつひとつ考えることが重要です。

 

この記事では、アーク溶接で起こりうる危険を6つまとめました。加えて、その危険を踏まえた上での具体的な安全対策も紹介しましたので、作業を行う場合は必ずご覧ください。

 

 

 

アーク溶接6つの危険予知

 

 

アーク溶接を安全に行うためには、まずは危険を予知して理解することがとても重要です。具体的には次の6つの危険が潜んでいます。

 

  • 目への影響
  • 肺への影響
  • 感電の発生
  • 一酸化炭素による影響
  • 火災の発生
  • 熱中症の危険

 

 

目への影響

 

溶接で使用するアーク光には、紫外線や可視光線が含まれています。紫外線は目に吸収されやすく、一定以上の紫外線を受けると電気性眼炎(雪眼)と呼ばれる症状が出ることがあります。

 

電気性眼炎(雪眼)とは?

紫外線に長時間さらされることで、角膜の表面が傷つく病気。目のゴロゴロ、涙が出る目、結膜の充血などの症状が現れる。

 

また、可視光線は青色の光が特に有害とされており、視力の低下や視野の一部が欠損するなどのリスクもあるのです。

 

 

肺への影響

 

溶接では作業中に煙が発生しますが、これには金属の蒸気が含まれています。蒸気中の金属は空気によって冷まされて小さな粒子(ヒューム)となり、これを作業者が多量に吸い込むと数時間後に発熱するケースがあります。

 

さらに症状が進むと、「じん肺」と呼ばれる病気になる可能性も高いです。じん肺が進行すると肺機能が壊れて呼吸困難となり、気管支炎や肺がん等の合併症も引き起こします。

 

 

感電の発生

 

アークの出力電流は5A〜1,000Aほどです。とても強い電流なので、作業者が溶接棒に触れてしまうと命の危険も伴います。

 

電流の大きさによる症状
  • 5mA:痛みがある
  • 10mA:我慢できない
  • 50mA:非常に危険
  • 100mA:致命的

 

1A=1,000mAですので、アークの電流は人にとって非常に強いと言えます。そのため、死亡事故も多くなっているので特に注意が必要です。

 

 

一酸化炭素による影響

 

アーク溶接では炭酸ガスをシールドガスとして使用するケースがあります。この炭酸ガスがアークの熱によって分解されて一酸化炭素が発生しますが、この量が多くなると中毒症状を起こす可能性が高いです。

 

一酸化炭素中毒とは?

血液中のヘモグロビンに一酸化炭素が結合し、酸素が身体中の臓器に行き渡らなくなり発生する。重度になると痙攣や意識障害が起きるケースもある。

 

 

火災の発生

 

アーク溶接は電気を使用し、作業中は火花も発生します。通電による発熱やスパーク、可燃物への着火など、火災が起きる可能性はとても高いです。

 

また、可燃性のガスに引火すると爆発が起きます。加えて、エタノールなどの引火性が高い液体の蒸気でも爆発する恐れはあるので、細心の注意が必要です。

 

 

熱中症の危険

 

溶接中はマスクや作業服を着ているので非常に暑いです。加えて、アークによる熱で体感温度は高くなり、さらには炎天下での作業となると熱中症が発生しやすくなります。

 

熱中症は死に至るケースもあり、実際に作業現場で亡くなる人は毎年出ています。

気温が高くなくても、湿度によって熱中症リスクは変わるので、室内の作業でも気をつけなくてはいけません。

 

 

アーク溶接の具体的な安全対策

 

 

アーク溶接はとても危険な作業ではありますが、しっかり対策を行えば事故のリスクは大幅に減らすことが可能です。

具体的な方法は様々ありますが、ここでは必要最低限とも言える安全対策を5つ解説します。

 

  1. 溶接マスク・防塵マスクを着用する
  2. 絶縁性の作業靴や乾いた作業服・手袋を使用する
  3. 十分な換気を行う
  4. 作業場から可燃性の物質を移動する
  5. 健康管理を十分に行う

 

 

溶接マスク・防塵マスクを着用する

 

アーク光から目を守るには溶接マスクが必須です。溶接マスクはアーク光だけではなく、スパッタと呼ばれる金属粒子から顔を守る役目もあります。

 

加えて、保護メガネの着用もおすすめです。アークを発生させる際、溶接マスクでの保護が遅れることで目を痛める可能性は高いので、メガネを使用することでしっかりと防止ができます。

 

また、防塵マスクはヒュームへの対策におすすめです。外の作業でもヒュームの影響はかなりあるので、屋内屋外問わず着用が必須です。

 

 

絶縁性の作業靴や乾いた作業服・手袋を使用する

 

溶接機の電流は非常に強いので感電対策は重要です。絶縁性の高い手袋や作業靴を使い、電流に触れても問題ないようにしましょう。

 

ただし、濡れていると電流を通しやすくなるので、必ず乾いたものを着用してください。溶接用の手袋でも、汗などで絶縁性が下がる場合があるため、シリコンを使用した手袋などがおすすめです。

 

 

十分な換気を行う

 

屋内の作業は一酸化炭素中毒の危険性が高くなります。加えて、屋内だとヒュームが充満してしまうので、しっかりと換気を行いましょう。

もし、換気の難しい場所で作業を行う場合は、送気マスクで空気を送る、電動ファン付きの保護マスクで空気のろ過を行う、などの対策を行ってください。

 

 

作業場から可燃性の物質を移動する

 

溶接中は火花やスパッタが発生するため、引火する可能性があるものは全て周囲から移動させましょう。木片や布は必ず取り除き、ガスなども爆発の恐れがあるので安全な場所に移してください。

 

また、溶接作業が終わったら、必ず溶接機の電源を切りましょう。そして、作業が終わって1時間程度は火災が発生する可能性があるので、終了後も定期的に作業場のチェックを行うことをおすすめします。

 

 

健康管理を十分に行う

 

作業中は熱を伴うので熱中症への対策は必須です。十分な水分と塩分を補給し、あまり長時間の作業はせずに休憩を挟みつつ行ってください。

また、熱中症以外でもヒュームや一酸化炭素による影響も考えられます。少しでも身体に違和感を感じたら作業を止め、まずは自分の健康を第一にする意識を持ちましょう。

 

以上です。株式会社新進では、アーク溶接を始めとして金属加工のコーディネートを行っています。

溶接に関してお困りの場合は、お気軽に以下ページよりお問い合わせください。

 

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