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チタンとは?|特徴やメリット・デメリット、性質や用途例などを紹介

チタン

2022.3.26

チタンは元素記号が「Ti」の金属材料で、英語ではtitanium(チタニウム)と書きます。1790年に発見されてから200年、実用化されてからは70年ほどしか経っておらず、銅や鉄と比べるとまだ歴史の浅い金属です。

 

チタンの特徴は、簡単にまとめると「強い・軽い・錆びにくい」金属だと言えます。そのため、航空機や海で使う製品によく用いられますが、一方で価格が高いなどのデメリットもあります。

 

この記事では、チタンの何がすごいのか特徴や性質についてまとめました。また、種類や用途にも触れていますので、チタンの概要はこの1ページで把握できますのでご覧ください。

 

チタンの特徴や性質

 

チタンはレアメタルの一種です。レアメタルは希少金属のことですが、実はチタンそのものは地球上にかなり豊富に存在しています。

 

【クラーク数と順位】

順位 元素 割合(%)
1 酸素 49.5
2 ケイ素 25.8
3 アルミニウム 7.56
4 4.70
5 カルシウム 3.39
6 ナトリウム 2.63
7 カリウム 2.40
8 マグネシウム 1.93
9 水素 0.83
10 チタン 0.46

 

クラーク数とは地球上に存在する元素の割合を示したものですが、チタンは10番に位置しています。金属だけに絞ればチタンは4番目に多いです。

 

しかし、地球上のチタンは酸素と強く結びついており、純度の高いチタンを精錬するのはとても大変です。その結果、生産量は少なくなっているため、チタンはレアメタルの一種となっています。

 

また、チタンはその特徴から用途の半分ほどが航空分野です。そのため、別名で「空飛ぶレアメタル」とも呼ばれています。

 

 

チタンのメリット

 

チタンには様々な性質がありますが、それらは良い面と悪い面の2つに分類できます。まずメリットですが、次の5つに分けて解説します。

 

  • 比較的に軽い
  • 強度が高い
  • 耐食性に優れる
  • 高温に耐えられる
  • 身体への影響が少ない

 

 

比較的軽い

チタンは他の金属と比べてかなり軽い部類に入ります。密度を他と比較すると以下の通りです。

 

金属 密度

(g/cm3)

チタン 4.51
7.87
8.96
ステンレス鋼 7.9
アルミ 2.7

引用:材料の密度一覧|ものづくりウェブ 機械設計エンジニアの基礎知識

 

強度の高い鉄やステンレスを比べると密度はかなり低く、銅とは約半分に至っています。

アルミほど軽くはないものの、強度を考えるとチタンは重量と強さのバランスがとても良い金属なのです。

 

 

強度が高い

チタンは強度が高い金属として有名です。例として、引張強度を比較すると以下となります。

 

金属 引張強度

(MPa)

チタン合金 約950
ステンレス鋼 約860
鋼(高炭素鋼) 約800
アルミ合金 約570
約220

引用:高引張強度金属トップ20!用途と特性を徹底解説|ニッシン・パーテクチュアル株式会社

 

チタン合金になると、ステンレスや鋼よりも引張強度は高いです。その上で軽いという特徴もあるので、チタンは航空機など部品に良く使用されています。

 

ちなみに、重さあたりの強度はアルミの約3倍、鉄の約2倍とも言われています。

 

 

耐食性に優れる

チタンは表面に不動態皮膜という薄い膜を貼っています。この皮膜は様々な環境下でも反応することなく安定していて、少し壊れてもすぐ補修されるので基本的にサビが進むことはありません。

 

耐食性が高い金属は他にもありますが、チタンは以下の点で他よりも優れています。

 

  • 塩化物イオンで皮膜が破壊されにくい
  • 酸化性の環境でも耐食性が維持される
  • 溶接で耐食性が低下しない
  • 冷間加工で耐食性が低下しない

 

 

高温に耐えられる

チタンは溶融度が高い、つまり溶けにくい金属でもあります。他金属と比較した一覧表を以下に掲載しました。

 

金属 溶融点

(℃)

チタン 1,668
アルミ 660
1,530
1,083
ハステロイ 1,305

引用:チタンの加工技術|(社)日本チタン協会

 

身近でよく使用される金属の中ではトップクラスの耐熱性をしています。

高強度のチタン合金だと、約500℃までとても高い強度を保てるので、その温度までなら構造物を軽くするために重要な働きができるのです。

 

 

身体への影響が少ない

チタンの利用方法として、体内の医療措置(固定用のボルトなど)があります。これは、チタンが人体の異物として認識されにくく、金属アレルギーを起こしにくいためです。

 

その上、骨と結びつくこともできます。そのため、インプラントなど人体に埋め込む際にも利用できる珍しい金属と言えます。

 

 

チタンのデメリット

 

チタンにはデメリットも存在していて、主な内容は次の通りです。

 

  • 価格が高い
  • 加工が難しい
  • 発火しやすい

 

 

価格が高い

チタンは地球の埋蔵量としては多いですが、生産量が少ないために価格が高くなっている金属です。

 

チタンの製造(クロール法)
  1. 二酸化チタンを炭素・塩素と高温で反応させる
  2. 四塩化チタンを冷却して液体にする
  3. 蒸留法等で純粋な四塩化チタンにする
  4. マグネシウムと反応させてスポンジチタンにする

 

スポンジチタンとは、空隙がたくさんある金属チタンのことです。

これだけの手順で精錬する必要があり、その上需要も多いのでチタンはとても価格が高くなります。

 

 

加工が難しい

需要の多いチタンですが、加工は難しいため製品製作は大変です。これはチタンが高強度という理由が大きいですが、熱伝導率が低くて熱がこもりやすい点も加工を難しくしています。

 

なお、チタンの加工については以下の記事でまとめていますのでご覧ください。

≫チタンの加工が難しい4つの理由|具体的なポイントを加工ごとに解説

 

 

発火しやすい

チタンは高いエネルギーを持っていて、化学反応が起こりやすい金属です。そのため、切削して出た切りくずが酸化して熱が生まれ、発火することもあります。

 

強度の高いチタンは、切削する上で条件がとても厳しいです。その上で、火災への配慮もする必要があるため、扱いが難しい金属と言えます。

 

 

チタンの種類と機械的性質

 

▲チタン製品の事例

 

チタンは大きく分けて以下2つの種類があります。

 

  • 純チタン
  • チタン合金

 

他の元素がほぼ含まれていないものを純チタン、必要に応じて他金属を添加したのがチタン合金です。

大まかな特徴は、強度としてはチタン合金が高いですが、延性などは純チタンが良い、という機械的性質があります。

 

なお、チタンの種類は次の記事で解説しましたのでご覧ください。

≫チタンの種類|各規格(記号)と成分、それぞれの特徴について解説

 

 

チタンの用途例

 

チタンはその軽さと強度、高い耐食性により要望がとても多い金属です。使用されている多くは航空関係ですが、その他にも工場や医療現場と幅広い用途に使用されています。

 

分野 使用例
宇宙・航空 ジェットエンジン部品(圧縮機、ディスク等)
ロケット、ミサイル、人工衛星部品(ロケットブースター、燃料タンク等)
電力 原子力・火力・地熱発電の部品(配管、熱交換器等)
建築・土木 屋根、外壁、金具、標識、手すり、工具等
輸送機器 自動車部品(ボルトナット、ホイール、マフラー等)
船舶部品(船体、マスト、水中翼等)
楽器・音響 スピーカー、ドラム、振動板等
医療 人工骨、人工関節、手術器具、ペースメーカー、車椅子等
スポーツ テニスラケット、スキー板、ボブスレー、スパイク等
装飾品 時計、メガネフレーム、ピアス、ネクタイピン、ライター等
調理器具 フライパン、魔法瓶、中華鍋、包丁等

 

以上、チタンの概要を解説しました。

株式会社新進では、チタンを始めとして金属加工のコーディネートをしています。お困りの際はお気軽に以下ページよりお問い合わせください。

 

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