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被覆アーク溶接とは?|特徴や仕組み、メリット・デメリットを解説
溶接
2024.7.25
被覆アーク溶接はアーク溶接の一種です。アークと呼ばれる現象を利用し、溶ける電極を介して2つの金属を接合しています。
作業は手動で行うため「手溶接」とも言われており、設備も安く調達できるので取り組みやすい方法です。その一方で、作業者の技術によって仕上がりが大きく異なり、強度にも違いが出るため経験と知識が伴うものでもあります。
この記事では、被覆アーク溶接の仕組みや特徴を解説しました。メリットとデメリットに分けて紹介しましたので、被覆アーク溶接の基礎知識としてご覧ください。
被覆アーク溶接の仕組み
被覆アーク溶接は、アーク(電弧)という放電現象を利用して行っています。対象の金属に心線と呼ばれる溶接棒(電極)を接触させ、電流を流すことによりアークを発生させ接合をスタートするという原理です。
このアークは非常に強い光を放っていて、その温度は5,000〜20,000℃あるとされています。古くから行われており、現場でもよく見られる方法なのでもっとも馴染みのある溶接方法です。
溶接棒の役割
使用する電極は、溶けて溶接金属と一体化します。そのため、対象の金属と似た成分の溶接棒を選ぶ必要があり、種類があるので適切なものを使用しなくてはいけません。
溶接棒にはフラックスという被覆材が塗られていますが、電極が溶ける際に一緒に溶けてガスを発生させています。このガスに覆われることで、大気中の酸素や窒素から守り、酸化を防止しています。
加えて、被覆材にはスラグが含まれており、溶けた金属を覆って守る役割も担っているのです。
直流・交流による違い
被覆アーク溶接を行うには溶接機が必要です。ただ、溶接機は交流と直流の2タイプに大きく分かれており、特徴がそれぞれで異なっています。
被覆アーク溶接の特徴
被覆アーク溶接は、被覆材を塗布した溶接棒とアーク放電を使用するため、その名称が付けられています。これにより、他の溶接法にはない特徴もあるので、メリットとデメリットに分けてそれぞれ紹介します。
メリット
被覆アーク溶接の主なメリットは次の3つです。
- 整備費が比較的安い
- 使用範囲が広い
- 外部環境の影響を受けにくい
整備費が比較的安い
溶接機は近くのホームセンターで購入することが可能です。溶接棒などを合わせても、数万円程度で揃えることができます。
加えて、機械のメンテナンスも比較的しやすいです。そのため、多くの場面で使われており、その道具の種類も豊富にあります。
使用範囲が広い
被覆アーク溶接は手作業で行います。加えて、設備も大掛かりではないので、電源さえ確保できれば屋内・屋外どこでも利用可能です。
また、アーク光を利用するシンプルな仕組みなので、基本的にはどんな金属でも接合できます。
外部環境の影響を受けにくい
溶接棒に被覆材が塗られているため、アーク光はガスによって守られています。これにより、風が吹く屋外でも影響が軽減され、安定して溶接することが可能です。
デメリット
被覆アーク溶接の主なデメリットは次の3つです。
- 溶け込みが浅く接合の速度が遅い
- 作業者の技術に左右される
- 健康への影響が大きい
溶け込みが浅く接合の速度が遅い
被覆アーク溶接の電流は、大きすぎると被覆材が焦げてしまいます。そのため、使用する電流は小さくなり、熱量も比較的小さくなるので溶け込みが浅く、溶接できるスピードも遅くなるのです。
作業者の技術に左右される
被覆アーク溶接は手溶接とも呼ばれ、作業者が実際に手を動かしながら行います。アークを発生させ、金属の溶け込みを見ながら、少しずつ接合を進めるため非常に高度な作業です。
加えて、溶接棒は溶けて金属の一部になるので、少しずつ短くなっていきます。電極と金属の距離は一定に保つ必要がありますが、キープするには相当な経験が必要なのです。
健康への影響が大きい
溶接中は電気を使用しているため、電撃を受ける可能性が高いです。特に屋外では雨が降ることもあり、濡れるとさらに電撃の危険性が高まります。
また、溶接中は金属の蒸気も同時に発生しますが、これが冷やされることで小さい金属粒子に変化します。これはヒュームと呼ばれ、吸い込みすぎると肺がん等のリスクも高くなります。
以上です。株式会社新進では、被覆アーク溶接を始めとして様々な溶接加工を行っています。
お困りの場合はお気軽に以下ページよりお問い合わせください。
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