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アルミとは|10の特徴と欠点、機械的性質について解説
アルミニウム
2022.10.6
アルミはボーキサイトを原料とした金属であり、軽くサビにくい、強度が高いなどの特徴を持っています。この他にも加工しやすく熱や電気を通しやすい特徴もあるので、銅や銀の代替としても使用可能です。
このように、優れた特徴を多く持つので、輸送機械の部品や医療用機器、建材など様々な場面で使用されています。
ただし、純アルミは傷つきやすいなどの欠点を持つので、銅やマグネシウムなど他の金属を加えて合金として使用するケースが多いです。アルミ合金は、合わせる金属の種類によって性質が異なり、使用される製品や部品も異なります。
本記事では、アルミの持つ特徴やアルミ合金の種類や用途についてわかりやすく解説していきます。
アルミとは?10の特徴を紹介
アルミはボーキサイトという鉱石を原料とした金属であり、正式名称は「アルミニウム」です。
ボーキサイトは1821年に南フランスで発見されました。ボーキサイトから高純度の酸化アルミニウム(アルミナ)を取り出し、アルミナを電気分解して製造します。
アルミは軽くサビにくいなどの特徴を持ち、現在では鉄に次ぐ第二の金属ともいえるでしょう。アルミの特徴を10個に分けてそれぞれ解説します。
アルミは軽い
アルミの最大の特徴は軽いことであり、比重は2.7です。他の代表的な金属とアルミの比重を下記の表で比べてみましょう。
金属 | 比重 |
アルミニウム | 2.7 |
マグネシウム | 1.7 |
チタン | 4.5 |
鉄 | 7.8 |
銅 | 8.9 |
鉄や銅、チタンを原料としたときと比較して、アルミを原料にすれば製品や部品を軽量化できます。そのため、車両や自動車、航空機などの輸送機械の原材料としてよく使用されています。
アルミはサビにくい
アルミが鉄に次ぐ金属として様々な製品や部品に使用されているのは、耐食性に優れているからでもあります。耐食性に優れているのは、常温の待機中でも酸化が進行し、表面に厚さ0.2ミクロン程の酸化膜が生成されるからです。
なお、不純物を含まない純度の高いアルミほど、耐食性に優れています。
アルミは強度が高い
純度の高いアルミ自体は柔らかく変化しやすい金属ですが、アルミに銅やマグネシウムなどを添加し合金化すると強度の高い金属になります。
さらに、銅やマグネシウムなどの合金に熱処理を加えると、鋼材に匹敵する強さを持つジュラルミンになります。
アルミは低温でも強い
鉄鋼が低温状態で脆くなってしまうのに対し、アルミは低温でも強度を保ちます。低温でも結晶面に沿った割れが発生しにくいからです。
そのため、-162℃で”冷却する必要のあるLNGタンカーやLNG低温貯蔵タンクの材料としても使用されます。
アルミは加工しやすい
アルミは加工しやすい金属でもあるので、様々な製品や部品の製造に使用されています。加工しやすいのは結晶構造が理由であり、アルミは原子密度の高い面が多くある面心立方構造をしているためです。
そのため、板材や線材などへの加工がしやすい特徴を持っています。
アルミは熱を通しやすい
アルミは熱を通しやすい金属です。熱伝導性が高い金属は他に銅もありますが、銅よりもアルミは価格が安いので銅の代替としても使用されています。
そのため、熱交換器や放熱板などにも使用されています。
アルミは電気を通しやすい
アルミは熱だけでなく、電気を通しやすい性質も持っています。電気伝導度は銅の約60%ですが、鉄と比較すると電気伝導度は約3倍も高いです。
そのため、先ほど解説したようにアルミは銅よりも安いので銅の代替金属として使用されます。
電気を通しやすい性質を活かして送電線に使用されるときもありますが、その際には強度が強いアルミ合金を使用するのが一般的です。
アルミは磁性がない
アルミは非磁性体なので、磁場の影響を受けません。磁場の影響を受けると困るパラボラアンテナや船の磁気コンパス、電子医療機器などに使用されています。
近年では、リニアモーターカーなどさらにアルミを原材料とするシーンが広がっています。
アルミは反射性が高い
アルミは反射性が高いので反射シートなどにも活用されています。アルミや他の金属を加工したときの反射率は、下記の通りです。
金属 | 反射率 |
銀面 | 93 |
アルミ電解研磨面 | 90~95 |
ガラス鏡面 | 80~85 |
水銀 | 70~75 |
金、クローム | 60~70 |
銅、鋼、タングステン | 50~60 |
上記のように、銀は反射率が最も高い金属ですが高価です。そのため、銀の代替として使用される場合もあります。
アルミは毒性がない
アルミには毒性がないので扱いやすい金属です。地球の地殻表層部に最も豊富にある金属であり、土壌や作物、海水や空気中にも含まれています。
アルミは無害であり、たとえ人間が口にしたとしても約99%はそのまま排出されます。健康障害を起こした報告も過去にないので、手に触れやすい製品や部品の材料としてもアルミは使用可能です。
アルミは食品にも含まれている
アルミは生鮮食品にも含まれていますし、胃薬や鎮痛剤にも配合されています。生鮮食品1,000gに含まれるアルミの量は、下記の通りです。
食品名 | 数量(mg) |
豚肉 | 2.3~8.4 |
豚レバー | 4.4 |
牛肉 | 17.7 |
牛乳 | 1.9 |
にしん | 8.8 |
りんご | 0.5~3 |
引用:おもしろサイエンス アルミの科学(B&Tブックス)
アルミはリサイクルしやすい
アルミはリサイクルしやすい金属であり、リサイクル率は下記の通りです。
製品・部品名 | リサイクル率 |
輸送関連製品・部品(自動車部品など) | 80%以上 |
土木関連(サッシやエクステリアなど) | 90%以上 |
食品関連(飲料缶など) | 70%以上 |
なお、リサイクルしたアルミは二次合金地金と呼ばれます。
アルミをリサイクルする際に必要な電力は、アルミを作るときの電力の3~5%ですむので、省エネ性に優れた金属ともいえるでしょう。
アルミ合金とは?アルミとの違いについて
▲アルミの加工製品
アルミは軽く柔らかく加工がしやすい反面、強度が小さく傷つきやすい欠点を持っています。
純度の高いアルミが持つ欠点を補い、製品や部品として使用しやすくするために他の金属を加えたものがアルミ合金です。
製品や部品として使用されているもののほとんどはアルミ合金です。詳しくは次の記事で解説しましたのでご覧ください。
≫アルミ合金とは?|アルミとの違いや特徴、種類ごとの用途を紹介
純アルミ硬貨の1円は1円以上の価値がある
1円硬貨は純度100%のアルミが使用されるので、製造コストが1円以上かかってしまいます。
というのも、1円硬貨を1枚製造するのに必要なコストは0.7円程度ですが、製造コストが加わると合計1.6~1.8円程度はかかってしまうからです。
アルミの欠点について
これまで紹介してきたように、アルミには優れた特徴が多数ありますが、以下の2つの欠点もあります。
- 熱膨張率が高い
- 条件次第では腐食しやすくなる
アルミの線膨張係数は鉄系の材料の約2倍であり、設計時には熱膨張も含めて設計しなければなりません。
また、加熱と冷却が繰り返される部品に使用するときには、熱疲労により脆くなる点に注意が必要です。
アルミ自体は耐食性に優れていますが、塩気が多い環境や他の金属と接触すると腐食してしまう恐れがあります。
アルミと他金属の機械的性質の比較
最後にアルミと他の金属の機械的性質を比較表で紹介します。
項目 |
アルミ | 鉄 | マグネシウム | チタン |
融点 (℃) |
660 | 1535 | 650 | 1668 |
比重 (g/㎤) |
2.7 | 7.9 | 1.7 | 4.5 |
ヤング率 (kgf/㎟) |
7050 | 21000 | 4570 | 10850 |
熱伝導率 (cal/㎤/s/K/cm) |
0.49 | 0.15 | 0.38 | 0.041 |
線膨張係数 (×10-6/K) |
23 | 12 | 25 | 8.4 |
電気抵抗 (μΩ・cm) |
2.7 | 9.7 | 4.3 | 55 |
引用:図解入門最新金属の基本がわかる事典(秀和システム)
アルミを始めとする金属は、上記のようにそれぞれ様々な特徴を持っています。仕上げる形状や使用する環境に合わせて部材を選択するようにしましょう。
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