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真鍮(黄銅)の切削加工について|注意点と加工時の2つのポイント
真鍮
2022.8.16
真鍮は黄銅とも呼ばれ、五円玉など身近なものに加工されている一方、切削加工が難しい金属素材といわれています。
銅と亜鉛の合金のため、柔らかで延びの良い点が真鍮最大の特性といえるでしょう。これにより複雑な形状に加工しやすい利点があるものの、切削時に傷や切りくずによるバリが起きる要因にもなります。
真鍮の切削加工を検討されている場合、事前にその特性や工程をメリット・デメリットも踏まえ、理解する必要があるのはこのためです。
本記事では、真鍮の切削加工についての注意点やポイント、加工事例も交えて解説していきます。真鍮の加工を依頼する際の参考にしてみてください。
真鍮の切削加工における注意点
真鍮は柔らかく切削しやすい反面、加工が難しいとされるのは、その優れた特性によって加工する際に以下の事象を起こすためです。
- 展伸性に優れている→伸びすぎるためバリが生じやすい
- 柔らかく加工しやすい→切削加工の切りくずで表面が傷つきやすい
- 熱伝導率が高い→切削中の摩擦熱で歪みや反りが生じやすい
加工により生じたバリや傷・歪みなどは、後処理の手間をかけなければ製品として成り立ちません。真鍮の加工に高い技術を要するのは、これらの不具合・手間を未然に防ぐ必要があるからです。
真鍮の切削加工のポイント
真鍮は優れた切削性というメリットがあるものの、素材自体の粘り気の強さからバリが出やすくなります。
また溶解温度が低く、刃先に溶着しやすいというデメリットがあります。 切削時の抵抗も大きいため、真鍮を切削加工をする際には、下記2点のポイントは外せません。
真鍮の切削加工を行う場合は、必ず上記2点は守りましょう。
使用する工具について
精度の高い真鍮の加工にには、適切な工具を適切に使用することが重要です。
特に切削加工に使用される工具は「超硬工具」と呼ばれ、優れた強度や弾性と高温時の硬度低下が少ない点が特徴です。
また、高速切削が行えるため、素材の温度上昇による溶着の防止や工具寿命が延ばせる点は、大きなメリットといえるでしょう。
旋盤加工を始め、真鍮の切削方法ごとに適した工具の材種は下記の通りになります。
加工法 | 工具材種 | 刃形状 |
旋盤加工 | N種の超硬合金、コーテッド超合金
ダイヤモンド焼結体 |
・すくい角が正角方向に大きい刃形
・切れ刃稜のプリホーニング(研削後の切れ刃を処理した状態) |
正面フライス加工 エンドミル加工 |
N種の超硬合金、コーテッド超合金
ダイヤモンド焼結体 |
|
中・小径の エンドミル加工 |
N種の超硬合金、超微粒子超硬合金
超微粒子超硬合金を母体とする PVD法コーテッド超合金 |
切削油の使用について
真鍮はその柔らかさにより、加工時に切りくずが巻きついて表面に傷がつきやすくなります。
この傷は加工精度を劣化させるため、切削油を使用する必要があります。これは切削油が持つ潤滑作用によって改善できるという理由からです。
ただし、切削油の量が不十分だったり、保管が適切でなかったりすると不具合を起こす要因になります。
また、切削油を使用せず、ドライ加工で行うケースもあります。これは加工物の切削のしづらさを定量的に示す指標である被削性指数率が高い場合です。
銅合金である真鍮はこの指数が100~70と高いため、ドライ加工も基本的に可能といえます。
職人が行った真鍮の切削加工の事例
新進が行った真鍮の切削加工の事例を、写真を交えて紹介します。
▲複雑な形状をエンドミル加工(ポケット+側面)で行った事例
▲厚みのある部品も、旋盤+ボーリングで滑らかな美しい仕上がりに
株式会社新進では難しいといわれる真鍮の加工も、素材を見極められる確かな目と技を誇る職人が整った設備環境のもと、多数の実績を積み上げています。
他社で断られた複雑な形状の加工を始め、小ロットの依頼も対応可能です。まずはお気軽にご相談ください。
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