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チタンとアルミの違い|強度や比重の比較、見分け方を解説
チタン
2025.4.23
チタンとアルミは同じ金属ではありますが、重さや強度など様々な点で異なることが多いです。しかし、どちらが優れているわけではなく、使用環境によって利用する金属を選ぶ必要があります。
そのためには、チタンやアルミなどの性質の違いを把握することが大切です。そこでこの記事では、チタンとアルミの具体的な数値を比較して、その違いを明らかにしました。
加えて、両者を見分ける方法も紹介しましたので、金属の様々な差を理解できるはずです。
チタンとアルミの違い
チタンとアルミには詳細に見てみると様々な違いがあります。その違いを具体的にするため、以下3つの視点で比較して紹介しましょう。
- 物理的性質
- 機械的性質
- 希少性(価格)
物理的性質を比較
チタンとアルミの物理的性質は次の通りです。なお、チタンとアルミは種類が豊富になるので、代表的なものをピックアップしています。
純チタン | チタン Ti-6Al-4V |
アルミ | アルミ合金 75S-T6 |
|
溶融点 (℃) |
1,668 | 1,540~1,650 | 660 | 476~638 |
密度 (g/cm²) |
4.51 | 4.42 | 2.70 | 2.80 |
ヤング率 (kgf/mm²) |
10.85×10³ | 11.55×10³ | 7.05×10³ | 7.28×10³ |
電気比抵抗 (μΩ¯cm,20℃) |
47~55 | 171 | 2.7 | 5.8 |
電気伝導率 (Cuと比較,%) |
3.1 | 1.1 | 64.0 | 30.0 |
熱伝導率 (cal/cm²/sec/℃/cm) |
0.041 | 0.018 | 0.487 | 0.294 |
線膨張係数 (cm/cm/℃,0~100℃) |
8.4×10⁻⁶ | 8.8×10⁻⁶ | 23.0×10⁻⁶ | 23.1×10⁻⁶ |
引用:チタンの加工技術|(社)日本チタン協会
チタンは軽くて有名ですが、アルミは密度(比重)が2.7〜2.8とさらに軽量です。
その一方、線膨張係数が大きいアルミは温度変化で体積量が大きく、チタンはかなり小さいと言えます。
加えて、チタンは熱伝導率も小さいので、アルミよりもずっと保温性の高い金属です。そのため、キャンプ等の食器はチタンの方が暖かさを保ちやすくなります。
機械的性質を比較
チタンとアルミの機械的性質は次の通りです。
チタン 2種 |
チタン 60種 |
アルミ 1100H112 |
アルミ 7075T6 |
|
径、厚さ (mm) |
8~300 | 8~100 | ~35 | 6~75 |
引張強さ (MPa) |
340~510 | 895~ | 75~ | 560~ |
耐力 (MPa) |
215~ | 825~ | 20~ | 500~ |
伸び (%) |
23~ | 10~ | 18~ | 6~ |
引用:JISH4650:2016 チタン及びチタン合金-棒、JISH4040:2015 アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
チタンの強度は、純チタン(2種等)でもかなり高い金属です。一方のアルミは、純アルミ(1100等)だと強度は非常に弱く、大きく変形もしやすいと言えます。
しかし、マグネシウムなどを添加しアルミ合金(7075等)になると、強度は大きく上がります。とは言え、チタン合金(60種等)と比べると強度は低いです。
希少性(価格)を比較
チタンとアルミはそれぞれに優れた特性を持っていますが、価格としてはチタンの方が明らかに高いです。
これは以下2つが原因と考えられます。
- アルミの埋蔵量が多い
- チタンの精錬が難しい
地球の地表にある元素の割合を示したものをクラーク数と言いますが、アルミは7.56%、チタンは0.46%です。つまり、埋蔵量はアルミの方が16倍も多いのです。
さらに、チタンは精錬するために様々な工程が必要で手間がかかりますが、アルミは電気分解でできます。そのため、チタンはアルミの7〜15倍ほど価格が高いのです。
チタンとアルミの見分け方
チタンとアルミは同じ金属ですが、それぞれの特性や見た目の特徴を押さえれば、十分に見分けることが可能です。
具体的には次の点で見分けることができます。
チタン | アルミ | |
重さ | 重い | 軽い |
色合い | 黒っぽい | 白っぽい |
火花の有無 | 出やすい | 出にくい |
アルミは銀白色で白く、チタンは黒よりの表面色なので表面だけである程度は判別できます。さらに、アルミよりもチタンは約1.6倍ほど重いので、同じサイズなら手に取ればすぐわかります。
追加で、グラインダーなどでそれぞれを削り、火花が出るか否かでも判断が可能です。様々な違いをチェックして見分けるよう心がけてください。
以上です。株式会社新進では、金属の切削や溶接などを行い金属製品のコーディネートをしています。
お困りの際はお気軽に以下ページよりお問い合わせください。
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