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チタンの切断方法|加工時に気をつけるべき2つの注意点

チタン

2022.5.6

耐熱性や耐食性に優れるチタンは、先端技術に欠かせない金属です。しかし、比較的新しい金属のため専用の工具が開発されていないことや、熱が伝わりにくい特性から、「切断が難しい」「扱い方がわからない」と避けられることも。

 

実際にチタンの切断は、切断面が汚くなったり火災が起きる可能性もあり、知識と経験が必要です。今回はチタンの加工に適した3つの切断方法と、知っておきたい注意点を紹介します。

適切な方法を知って安全に切断を行いましょう。しかし、それでも加工が難しい場合は、プロに相談することもおすすめです。

 

 

チタンの切断方法とそれぞれのポイント

 

ここではチタンの切断方法について紹介します。チタンの代表的な切断方法は以下になります。

 

  • 鋸切断
  • シャー切断
  • ガス切断
  • ワイヤーカット(放電切断)
  • レーザー切断
  • ウォータージェット切断

 

いずれもメリット・デメリットがあるため、切断したい形状やコストにあわせて選択しましょう。この中から代表的な3つの切断方法を解説します。

 

 

鋸切断

 

鋸切断は、ごく一般的な切断方法です。その中の1つに、バンドソーと呼ばれる電動工具があり、これは丸棒状の金属加工に適した方法です。

機械には円形状の鋸刃がついており、それらを高速で回転させながら金属を切断していきます。広く知られる方法ですが、切断時には以下の問題もあります。

 

  • 切断時に発熱が大きい
  • 鋸刃の摩耗や破損が激しい
  • 切断面が汚くなる

 

また、加工するチタンの厚さによって切断速度が異なるため、知識と経験が必要です。

 

 

ワイヤーカット(放電加工)

 

ワイヤーに電気を流し、金属を切断していく方法です。

作業は水に浸した加工槽の中で行います。真鍮などで作られた細いワイヤーに電流を流し続け、発生した熱で金属を溶かし切断していきます。

 

導電性のある金属であれば、どれだけ硬くてもカットできるため、チタンに適しています。しかし、加工速度が遅いため量産には適していないデメリットもあります。ワイヤーカットの特徴は以下の通りです。

 

  • 素材の硬さに関係なく切断できる
  • 切断の際にかかる力が小さいため、変形しにくい。
  • 直線だけでなく、複雑な形状の加工もできる

 

量産には適しませんが、精度の高い加工に適しています。

 

 

ウォータージェット切断

 

水の噴射エネルギーを利用して切断する方法です。もともと100年ほど前には、洗浄や採鉱に使われていた方法です。しかし技術の進歩により、1980年頃から金属の切断にも使えるようになりました。

 

ほかの方法とは違い、熱を発生させず水の圧力で切断するため、ひずみが少なくなるメリットがあります。ウォータージェット切断の特徴は以下の通りです。

 

  • 熱が発生しないため、変形しない
  • 曲面や薄い板の加工に適している
  • 粉塵や有毒ガスが発生しないため、環境にやさしい
  • 装置が高価で、切断速度が遅い

 

 

チタンの切断で気をつけるべき2つの注意点

 

チタンの切断は、グラインダー等を使えば個人でも行えます。しかし、注意点を守らなければ、大きな事故を引き起こす可能性もあります。

ここでは、チタンを切断するときに知っておきたい2つの注意点を紹介します。工具のこまめな点検や、火花による火災に気をつけましょう。

 

 

工具(刃先)の劣化が早い

 

チタンは熱伝導率が低いため、切断面や工具に熱がこもりやすい特徴があります。

熱がこもると、刃先の摩耗や破損が進んだり、切りくずが工具にこびりついたりします。以下で主な金属の熱伝導率を紹介していますが、中でもチタン合金は、特に熱伝導率が低いです。

 

熱伝導率(20℃)(W/m⋅K)
工業用純チタン(CP-Ti) 17
α-βチタン合金(Ti-6Al-4V) 7.5
鉄鋼(SPCC) 63
銅(純Cu) 394

引用:一般社団法人日本チタン協会「物理的性質

 

熱伝導率は数値が低ければ低いほど熱がこもりやすく、工具の劣化が激しくなります。

そのため、グラインダーを使用する場合は、替刃を用意しておきましょう。また、切断速度を遅くする、切削油を使うなど熱を発生させない対策をすると、工具の消耗を最小限に抑えられます。

 

 

火花による火災の可能性

 

チタンは火災を起こしやすい金属として知られています。

酸素や窒素と反応しやすい化学的な性質をもつため、熱を持った切りくずが一瞬で発火して大きな火災につながる可能性があります。作業場に切りくずをためないよう、清掃を徹底しましょう。

 

しかし、火災が起きてしまった場合は乾燥砂や金属消火剤で消火します。

水をかけると、火が強まる可能性があるため、適切な消化方法を知っておきましょう。

 

耐食性や耐熱性に優れる反面、チタンは加工にコツが必要な金属です。「他で断られた」「きれいに切断できない」とお悩みのときは、ぜひ弊社までご相談ください。

大阪九条の職人ネットワークを活用して、金属加工をお手伝いします。

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