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チタン合金とは|主な特徴と種類、機械的性質や用途について
チタン
2022.11.24
チタン合金とは、名前の通りチタンを主成分とする合金です。チタンに他の金属を加えることによって、チタンの長所をさらに向上させる、もしくはチタンの短所を補うなどの目的で製造、使用されています。
チタン合金は軽くて強い、サビにくいなどの特徴を持っています。また、人体に対しても無害なので、人工骨などの医療部品としても使用可能です。
一方で、はコストが高く、加工が難しい特徴もあります。
金属の結晶構造によって、α型合金とβ型合金、α+β型合金の3つに分類可能です。それぞれ加工のしやすさや添加している金属、用途などが異なります。
本記事では、チタン合金の特徴や種類、主な用途について詳しく解説していきます。
チタン合金の主な特徴
チタン合金とは、チタンを主成分とする合金であり、チタンの持つ長所をさらに向上させる、反対に短所を改善する目的で作られます。
単体でも軽くて強い、サビにくいなどの特徴を持つチタンですが、他の金属を加えることでこれらの機能性がさらに向上し、以下の部品や製品などに使用されています。
- 航空機
- 化学プラント
- スポーツ器具
- 人工骨などの医療品
一方で、チタン合金は価格が高い、切削加工を行うのが難しいなどの特徴もあります。次に、チタン合金の種類について詳しく見ていきましょう。
チタン合金の3つの種類
チタン合金には、大きく以下の3種類に分けられます。
この3つは結晶構造の違いによって分類されています。それぞれの特徴について詳しく確認していきましょう。
α型合金
α型合金は、アルミニウムを加えることによってできる合金です。室温強度と低温状態の強度に優れている特徴を持つので、ロケット液体の燃料タンクなどにも使用されています。
一方で、加工性は後述するβ型合金やα+β型合金よりも悪いです。
β型合金
β型合金は、バナジウムやクロム、モリブデンなどを添加して作ります。β相と呼ばれる体心立方構造を常温でも保ち、加工性に優れているのが特徴です。
ただし、バナジウムやモリブデンを大量に加えて合金を作ると、比重が上がってしまいチタンが持つ長所のひとつである軽さが失われてしまいます。
以下のように様々な用途に使われているのも特徴のひとつです。
- バネ材
- ゴルフのヘッド
- 眼鏡フレーム
- 生体材料
α+β型合金
α+β型合金は、常温状態でも正六角柱の結晶構造であるα相と体心立方構造のβ相を保つタイプです。α型合金とβ型合金両方の良さを兼ね備えており、加工がしやすいのが利点といえるでしょう。
また、比強度(強度/比重)は400~500℃までは実用金属の中で最も高いです。そのため、戦闘機の機体やガスタービンエンジンの圧縮機前段などに使用されています。
チタン合金の機械的性質
工業用純チタンとチタン合金の機械的性質を比較した表は、下記の通りです。
工業用純チタン (CP2種) |
α-βチタン合金
(Ti-6Al-4V) |
βチタン合金 (Ti-15-3-3-3) |
|
引張強さ |
340~510 | 895≦ | 745~945 |
比強度 |
75~113 | 202≦ | 157~199 |
0.2%耐力 (規格値) (MPa) |
215≦ | 825≦ | 690~835 |
伸び |
23≦ | 10≦ | 12≦ |
ビッカース硬さ |
160 | 320 | 270 |
n値 (代表値) |
0.145 | 0.080 | 0.061 |
r値 (代表値) |
4.27 | 1.17 | 1.01 |
(引用:物理的性質|一般社団法人 日本チタン協会)
上記のように、純チタンとチタン合金では機械的性質が大きく変わってきますし、合金の種類によっても性質は変わります。
用途や加工のしやすさなどを考慮して、部材選びを心がけることが重要です。
チタン合金の主な用途
チタン合金はチタンの持つ長所を活かし、以下のように様々な用途に使用されています。
種類 | 主な用途 |
α型合金 | 液体燃料タンク(塩酸や硫酸用) |
β型合金 |
航空機構造用 |
α+β型合金 |
航空機、自動車ギア |
上記の他にも、自転車の高級モデルや釣り具、海洋掘削装置のライザーパイプ、潜水艦などにも使用されています。
チタン合金は軽くて強くサビにくいなど優れた特徴を持つ一方で、価格が高いので高級レジャー用品や高い強度が要求される部品に使用される場合が多いです。
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