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ステンレスとは?|特徴や錆びない理由、メリット・デメリットを解説
ステンレス
2024.8.29
ステンレスとは、鉄(Fe)50%以上にクロム(Cr)を添加した金属合金です。1910年ごろにドイツで初めての特許が取得されており、それ以降さまざまなステンレスが登場し今に至っています。
錆びない金属と呼ばれていて、見た目も美しいため、キッチンやスプーンなど身近なところでも多用されています。また、鉄を主成分にしているので強度も高く、建築構造物やロケットなどにも使われるほど用途は広いです。
この記事では、ステンレスの特徴をメリット・デメリットを踏まえ解説しました。加えて、ステンレスの種類も紹介しましたので、概要を抑えたい方は最後までご覧ください。
ステンレスの特徴とは
ステンレスとは、鉄にクロムやニッケルなどを添加した合金です。正式には「ステンレス鋼」と言い、英語ではStainless Steelと表記します。
日本では元々、クロムが12%以上含まれるものをステンレスと呼んでいました。しかし、1988年に国際統一され、現在では以下が定義となっています。
ステンレスの最大の特徴は錆びにくい点です。そのため、以前は「さびない」と言う意味を込めて、不銹鋼(ふしゅうこう)や不錆鋼(ふせいこう)とも呼ばれていました。
また、ステンレスは見た目も美しいことから、多くの製品で使用されています。身近なところでは包丁や流し台、洗濯機などに使われているため、生活に根付いた合金なのです。
ステンレスが錆びない理由
ステンレスが錆びにくい理由は、添加されているクロム(Cr)にあります。クロムと酸素が結びつくことで、とても強い酸化皮膜(不動態皮膜)となり、周辺の酸素や水分の侵入を防いでいます。
この皮膜は非常に薄く3ナノメートル(0.000003mm)程度しかないので、目視することはできません。薄い皮膜なので破れることもありますが、すぐにクロムが酸化をして補修するためステンレスは錆びにくい状態が保てるのです。
ステンレスのメリット・デメリット
▲ステンレスの製品事例
鉄を主成分とするステンレスは、使用されている製品が身近に多く存在しています。これはステンレスの耐久性が高いことが大きな理由ですが、それ以外にも様々なメリットがあるためたくさん使われているのです。
しかし、一方でステンレスにはデメリットも存在しますので、それぞれを具体的に解説します。
メリット
耐食性以外のステンレスのメリットは次の3つです。
- 強度が高い
- 耐熱性・保温性が高い
- 見た目が美しく清潔
強度が高い
ステンレスは鉄にクロムなどを添加している合金です。50%以上が鉄なので、強度は比較的高い金属になります。
引張強さ(N/㎟) | 高度(HBW) | |
ステンレス(SUS304) | 520以上 | 187 |
アルミ(A1100) | 90〜165 | 23〜44 |
炭素鋼(S45C) | 570以上 | 167~229 |
また、ステンレスは種類が多く、それぞれで炭素の量が異なります。強度は炭素が大きく影響しますので、ステンレスにも比較的柔らかいものは存在します。
耐熱性・保温性が高い
ステンレスに含まれるクロムは耐熱性にも優れる成分です。500℃までなら、どのステンレスも強度を高く保つことが可能で、種類によっては900℃程度まで耐えられます。
加えて、ステンレスは熱伝導率が低い金属です。そのため、熱の出入りを防ぐので保温性に優れており、水筒やタンブラーなどによく使用されています。
見た目が美しく清潔
ステンレスはそのままでも表面がシャープで美しいです。そのため、建物などのインテリアにも多く使用されていますが、鏡面加工やダル仕上、エッチングなどを行えば芸術性の高い製品にも使うことができます。
また、表面が錆びないので水回りでも問題ありません。汚れがついても拭き取れば綺麗になるので、半永久的に使用可能です。
デメリット
ステンレスのデメリットは次の3つがあげられます。
- 加工が難しい
- 錆びる場合もある
- 熱が伝わりにくい
加工が難しい
ステンレスには加工硬化という特徴があります。加工硬化とは、力を加えると硬くなるという性質で、曲げる・削るなどの加工を行うと硬さが増してしまうのです。
これにより、作業効率や製品の質が悪くなる、といったデメリットが生じます。詳しくは次の記事をご覧ください。
参考記事
錆びる場合もある
錆びないのが特徴のステンレスですが、絶対に錆びないわけではありません。表面を覆っている皮膜が破れたら、そこから一気に腐食が進み局部的に深く侵食されてしまいます(孔食という現象)。
また、ステンレスに炭素鋼などの異なる金属を溶接すると、電位差が生じて錆びてしまう場合もあります。錆びは強度を極端に下げるので、細心の注意が必要です。
熱が伝わりにくい
保温性が高いステンレスですが、熱が逃げにくいことで生じるデメリットもあります。例えば、ステンレスを切削すると熱が工具にこもってしまうので、刃の寿命が一気に短くなります。
また、薄いステンレス板だと長時間の熱で反りが起こる場合も。そのため、熱を受け続ける製品(エンジンなど)は、冷めやすい金属の方が向いているのでステンレスでは難しいです。
ステンレスの種類を紹介
ステンレスは含有される金属や組織構造によって様々な種類に分けられます。大きくは、クロム系とクロム・ニッケル系の2種に分類され、その中で組織構造によりマルテンサイトやオーステナイト、フェライトなどに細分化されています。
分類 | 組織構造 | 代表例 |
Cr系 | フェライト | SUS430 |
マルテンサイト | SUS410 | |
Ni-Cr系 | オーステナイト | SUS304 |
析出硬化 | SUS630 |
全てステンレスではあるので、錆びにくいという特徴はあります。しかし、強度や硬さ、熱膨張率などの性質はそれぞれで異なるので、使用する環境に合うものを選ぶことが大切です。
詳しくは次の記事にまとめていますのでご覧ください。
参考記事
以上です。株式会社新進では、ステンレスを始めとした金属加工をコーディネートしています。
お困りの際はお気軽に以下ページよりお問い合わせください。
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