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β(ベータ)チタンとは|成分やαチタンとの違い、金属アレルギーについて解説
チタン
2025.5.14
β(ベータ)チタンとはチタン合金のひとつで、β相を多く持った構造をしています。安定化元素を添加して熱処理をすることで、常温でも高い強度と弾力性を備えたチタン合金として使用ができます。
チタンでは最も高い強度がありますが、高温では強度が低下するなどのデメリットもあります。そのため、α(アルファ)チタンとの違いを踏まえ、ベータチタンの使用場面を考えることが大切です。
この記事では、ベータチタンの特徴やデメリットを解説しました。αチタンとの違いや金属アレルギーについてもまとめましたので、基礎知識はすべて網羅できます。
ベータチタンの特徴
▲チタン合金の製品例
ベータチタンは、一般的にはチタン合金の一種として取り扱われていますが、正確にはβ(ベータ)相という体心立方構造をもつチタンのことです。
β相は純チタンが高温になると現れる構造で、これを安定化させるためにバナジウムやニオブなどの元素を添加したものがベータチタンの合金となります。
ベータチタンの合金の特徴は次の3つです。
- 高強度である
- 弾力性に優れる
- 加工がしやすい
チタンは強度が高い金属ですが、熱処理を施すことでさらに強度は高まります。純チタン2種で引張強度は340〜510MPaに対し、ベータチタンの合金(80種)は640〜900MPaにもなります。
また、ベータチタンは他のチタンと比べてヤング率が低いです。これにより弾力性が得られ、しなやかに変形する金属として使われています。
加えて、加工性も高く様々な形を形成することが可能です。ベータチタン合金は軽さに強さ、弾力に加工のしやすさとすべてを持ち合わせています。
ベータチタンのデメリット
多くのメリットがあるベータチタンですが、一方で以下のデメリットもあります。
- 価格が高い
- 高温に弱い
チタン自体は地表上に多く存在しているものの、その精錬に手間が必要なためコストが高いです。合金となるとさらにコストは高くなり、手軽に採用できるものではありません。
また、ベータチタンが持つβ相は、アルファチタンが有するα相よりも強度が高くありません。
高温(885℃以上)になるとα相がβ相に変化するため、その結果として強度が低下するのです。
α(アルファ)チタンとの違い
チタンには以下2つの相が存在しています。
- α(アルファ)相:六方最密構造
- β(ベータ)相:体心立方格子構造
α相は低温で、β相は高温で組織され、その変態温度は885℃とされています。これらの相を低温や高温でそれぞれ安定化させるために、アルミやバナジウムなどを添加したのがチタン合金です。
アルファとベータの主な違いは次の通りです。
α(アルファ) | β(ベータ) | |
強度 | 高い | 低い |
加工性 | 悪い | 良い |
溶接性 | 良い | 悪い |
弾力性 | 悪い | 良い |
ベータチタンは強度の高いチタンとされていますが、これは熱処理による影響です。本来はα相と比べると強度は低いですが、熱処理を施すことによりチタンで最も高い強度を得ています。
ベータチタンの成分
ベータチタンの成分表は次の通りです。比較として純チタン(2種)とα+βチタン(60種)も掲載しました。
鉄(Fe)が比較的多く、バナジウム(V)が20%以上も添加されている点が特徴です。
なお、鉄やバナジウムはβ相を常温で安定させるβ相安定化元素と呼ばれ、他にもモリブデンやニオブなどが該当します。
ベータチタンと金属アレルギー
チタンは基本的に金属アレルギーが出ないとされていますが、これは身体がチタンに反応しにくいことが要因です。
ただし、ベータチタンは基本的に合金で使われており、他の元素も含まれています。そのため、純チタンよりは金属アレルギーが発生しやすいので、重度の金属アレルギーがある場合は注意しなくてはいけません。
メガネに使用されるベータチタン
ベータチタン合金はメガネのフレームによく使用されています。その主な理由は次の通りです。
- 比較的軽い
- 弾力性がある
- 金属アレルギーが出にくい
ベータチタン製のメガネはとても軽く、長時間かけていても負担が少ないです。加えて、弾力性が高いことで壊れにくく、フィット感も高まるためよく使われています。
以前はニッケルを使用した合金のメガネフレームが主流でした。しかし、ニッケルは金属アレルギーが出やすいため、現在のニッケルはチタンと同じ割合で混ぜたNT合金として使われています。
以上です。
株式会社新進では、チタン合金をはじめとして様々な金属加工をコーディネートしています。
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