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チタンとステンレスの違い|強度や腐食、アレルギーや見分け方を紹介
チタン
2025.4.10
チタンとステンレスはどちらも強度が高く、腐食にも強い金属材のグループに属します。ですが、細かく分析すると両者には様々な違いがあるので、どちらが良い・優れているというものでもありません。
つまり、求める性能や使用する環境を考えて、それに合った金属を選ぶことが重要です。そのためには、チタンとステンレスそれぞれの違いを深く理解しなくてはいけません。
この記事では、チタンとステンレスの違いを様々な点で解説します。見分け方や金属アレルギーについても触れましたので、具体的な違いは全て網羅できるはずです。
チタンとステンレスの違い
チタンとステンレスの違いは、細かくすると様々な面で見ることができます。具体的に解説するため、以下4つの内容に分けて紹介しましょう。
- 物理的性質
- 機械的性質
- 耐食性(腐食)
- 希少性(価格)
物理的性質
両者の物理的性質は次の通りです。なお、チタンとステンレスは種類が豊富ですので、代表的なものをピックアップしています。
純チタン | チタン合金 (Ti-6Ai-4V) |
ステンレス鋼 (AISI304) |
|
溶融点 (℃) |
1,668 | 1,540〜1,650 | 1,400〜1,427 |
密度 (g/cm³) |
4.51 | 4.42 | 8.03 |
ヤング率 (kgf/mm²) |
10.85×10³ | 11.55×10³ | 20.32×10³ |
電気比抵抗 (μΩ10⁻cm、20℃) |
47~55 | 171 | 72 |
電気伝導率 (Cuに比べ、%) |
3.1 | 1.1 | 2.4 |
熱伝導率 (cal/cm²/sec/℃/cm) |
0.041 | 0.018 | 0.039 |
線膨張係数 (cm/cm/℃、0〜100℃) |
8.4×10⁻⁶ | 8.8×10⁻⁶ | 16.5×10⁻⁶ |
チタンとステンレスはどちらも熱に強く、溶融点が高いです。加えて、熱伝導率が低いので、温まりにくく冷めにくい性質は一致しています。
また、ヤング率が高いステンレスは硬く変形しにくいですが、線膨張係数も大きいので、チタンよりも熱が加わると体積が増えやすい、と言えます。
機械的性質
両者の機械的性質は以下の通りです。
純チタン (2種) |
チタン合金 (60種) |
ステンレス鋼 (SUS304) |
|
耐力 (N/mm²、MPa) |
215≤ | 825≤ | 205≤ |
引張強さ (N/mm²、MPa) |
340~510 | 895≤ | 520≤ |
伸び (%) |
23≤ | 10≤ | 40≤ |
純チタンとステンレスは、耐力と引張強さに似通った性質があります。
しかし、チタン合金になると両方とも優れた能力を持っているため、航空機などの高強度が求められる箇所で使用されるケースが多いです。
強度について
ステンレスもチタン同様に強度が高いので利用頻度が多い金属のひとつです。
ただ、チタンはステンレスよりも「軽さ」という点で優れており、金属の重量あたりの引張強さ(比強度)は以下のようになります。
純チタン (2種) |
チタン合金 (60種) |
ステンレス鋼 (SUS304) |
|
比強度 (計算値) |
75〜113 | 202≤ | 64≤ |
耐力と引張強度で比べると純チタンとステンレスは似ていますが、重量まで考慮すると純チタンが優れることになるのです。
耐食性(腐食)
チタンとステンレスはどちらも表面に酸化被膜があります。そのため、腐食にはとても強いですが、ステンレスは以下の点で耐食性が劣っています。
一方のチタンはどちらにも耐食性が保たれるので、ステンレスよりも優れていると言えます。
ただ、チタンは塩酸や硫酸などの非酸化性の酸に腐食するのが弱点です。しかし、少し酸化剤を加えると不働態が形成されるので耐食性はキープできます。
希少性(価格)
チタンはステンレスよりも軽く比強度も高いですが、使用頻度はステンレスの方が多いです。
これは、チタンの価格が高いことが理由で、実にステンレスの5〜10倍はします。
加えて、チタン合金になると精製が大変なので、さらに価格は上昇します。そのため、使用されるチタンの多くが純チタンで、必要に応じて高強度なチタン合金が採用されています。
チタンとステンレスの見分け方
▲チタン製のマグカップ
チタンとステンレスは見た目が似ており、一目で見分けるのはかなり難しいです。
しかし、細かく見ると両者は様々な違いがあり、総合的に判断して見分けることはできます。
具体的には次の通りです。
- チタンは比較的軽い
- チタンには磁性がない
- ステンレスは光沢がある
- ステンレスは傷が付きにくい
同じサイズであればチタンが軽いです。加えて、ステンレスは磁性と非磁性がありますが、チタンには磁性がありません。
そして、チタンは黒っぽい色をしていてステンレスは光沢があります。加えて、ステンレスは比較的硬いので傷がつきにくいです。
金属アレルギーについて
金属が人に触れると、場合によってはアレルギーを引き起こす可能性があります。
しかし、チタンは金属の中でトップクラスにアレルギーが起きにくく、生体適合性がとても高い金属です。
チタンの表面は酸化被膜で覆われています。そのため、チタンが溶けだし体内に入る、という心配がないのです。
これはチタン同様の仕組みでアレルギー反応が出にくく、アクセサリーによく使用されています。
ただし、このふたつも金属アレルギーが出ないわけではありません。可能性が少ない、というだけですので必ずではないのです。
以上、チタンとステンレスの違いについて解説しました。
株式会社新進では、各金属加工のコーディネートを行っています。お困りの際はお気軽に以下からお問い合わせください。
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